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百味會

数々の文献に記録された歴史に残る老舗料亭

二軒茶屋中村楼

豆腐切りの早業を披露して
世に知られた名物「祇園豆腐」


八坂塔と通称される法観寺に、八坂神社門前の「二軒茶屋」を記した、現存する最も古い記録が残っている。この他『都名所図会拾遺』や『京町鑑』などの文献にも、二軒茶屋は記録されている。こうした史料から、この地で茶店が営まれるようになったのは約四五〇年前、戦国時代のころであったと推測される。中村楼は、南楼門前の参道沿いの東西に軒を構えた二軒の茶店のうち、東側にあった「柏屋」を前身とする。江戸期には「中村屋」となり、明治に入ってから現在の名称に改称された。
八坂神社門前の腰掛茶屋として始まった同店は、江戸初期に売り出した田楽豆腐の「祇園豆腐」が評判となり、広く世に名を馳せることになる。祇園豆腐は当初用いていた白味噌の風味もさることながら、店頭で披露した豆腐切りの早業がたいへんな評判となった。時代とともに味には改良が加えられ、ある時期に木の芽味噌が採用されたが、当時珍しかった木の芽のスパイシーな風味が人気を呼び、京名物としての祇園豆腐の評価はますます高まっていったのである。
明治に入って旅館を兼業するようになった。この時期には、多くの文人墨客をはじめ、伊藤博文などの著名人も宿泊している。現在は、京料理専門の料亭として経営されると同時に、玄関横には昔ながらの腰掛茶屋風の一構えが設けられ、茶店の風情も味わえるように工夫されている。

研究・努力を通じて、京の伝統を後世に伝える

千年の都である京都では、永い歴史の中で様々な優れた事物が生み出されてきました。そうした文化遺産の中には、寺社仏閣等の歴史的建造物ばかりでなく、京菓子や京料理の伝統技術も含まれています。京の街に、こうした文化遺産が豊富に残されているのは、非常に誇らしいことだと思います。
しかし、遺産が豊富であるがゆえに、時代の変化を乗り越え、後世に伝統を守り伝えていく難しさを感じずにはいられません。例えば京都では、まず良いものをつくり、それに見合った値段を後で設定する、という傾向がありましたが、こうした方針は現在の経済状況や消費者ニーズに合致しない場合があります。そうした状況の中で伝統を伝えていく必要があるわけですから、京都人は計り知れない努力・勉強をしなければならないのです。
当店においても、常に研究を怠らず、質素倹約を心掛け、伝統をしっかりと残しながら、事業としては時代に応じたやり方を取り入れるよう努力しております。「老舗」という言葉は、単に古い店という意味ではなく、永きにわたってそういう努力を継続してきた結果として、世の人々から得られた評価を表しているものだと思います。私どもは、これからも時代をしっかりととらえながら、京の伝統文化を伝えていきたいと願っております。

   

商号◇株式会社中村楼
所在地◇京都市東山区祇園町南側、八坂神社鳥居内
電話◇075-561-0016
ファクス◇075-541-6738
営業時間◇午前11時~午後7時(入店)
定休日◇月二回不定休
予約◇要予約