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百味會

鰻をお茶漬けで食する個性的な京名物

かね正
ぜいたくな風味が楽しめるお茶漬け鰻

慶応二年(一八六六)の創業。初代当主は滋賀県の出身であり、もともと京の街に住んでいた親戚との共同経営で当初は川魚問屋として商いを始めた。
名物の「お茶漬け鰻」は、二代目当主が考案したもの。開発のきっかけは、蒲焼にするには大きさが足りない小さめの鰻を有効利用するためであったという。ところが、絶妙な味付けと、鰻をお茶漬けに乗せるという斬新なアイデアが評判を呼び、たいへんなヒット商品となった。まず、天然ものの上質の鰻を白焼きにしてから、オリジナルのタレを使ってていねいに炊き上げる。蒲焼よりもしっかりと味付けされているが、佃煮ほど濃密な加工が施されているわけでもなく、お茶漬け鰻ならではの独特な仕上がり具合がポイントといえよう。
適当な大きさに切って御飯の上に乗せ、熱い煎茶をかけて食べるのが定石だが、このとき鰻にしみ込んだ醤油が溶け出し、茶碗全体に旨味が行き渡るという、とてもぜいたくな味を楽しむことができる。お茶漬けばかりでなく、おにぎりや出し巻き玉子の具に応用してもよいし、あるいは少しあらたまった進物としても喜ばれる品である。

冬に美味しい「味噌漬け鰻」を新開発

当店の看板商品である「お茶漬け鰻」は、私の祖父にあたる先々代当主が、試行錯誤の末に製法を完成させました。祖父は生来「新しいもの好き」であったらしく、さまぎまな商品の開発を試みたようです。お茶漬け鰻のつくり方に関して、基本的には祖父が考え抜いた方法を忠実に継承しております。しかし、使用する調味料の質・味が時代によって変化しているため、この点については注意深く対応するよう心掛けています。
ところで、鰻というと、どうしても夏の食べ物というイメージが強いようです。そこで当店では、冬場に美味しくいただける「味噌漬け饅」を開発いたしました。こちらはまだ発売したばかりですが、お客様からはすでにご好評をいただいております。この味噌漬け鰻も、当店の看板商品として認知していただけるよう、さらに味に磨きをかけていきたいと考えています。
さて、歴史都市京都は、「開発」と「保存」という相反するテーマを突き付けられている街であるといえます。ただ、何かを開発しようとする際、これに対する反対運動を起こして争うばかりでなく、より良い改善案を出し合って協議する姿勢がもっと必要ではないかとも思われます。将来にわたって、世界中の人々に敬愛される古都であり続けるため、京都という街が健全に発展していくことを願ってやみません。
   
創業◇慶応二年(1866年)
商号◇有限会社かね正
所在地◇京都市東山区大和大路通三条下ル
電話◇お茶漬け鰻 075-541-1171   味噌漬鰻 075-532-2471
営業時間◇午前9時~午後6時
定休日◇日曜日
予約◇要予約