京の文化ともいえる伝統の味を守り続ける |
|||
京都ならではの「出会い」が産んだ名物料理 元禄から享保のころ、初代平野権太夫は京都御所に仕える侍大将であった。ある年、宮様の九州行幸に従者としてお供した際、唐芋(とうのいも)を献上物として持ち帰ったとのこと。円山の地で栽培したところ立派に実り、縞模様が海老に似ていることから海老芋と呼ばれるようになった。同じころ、松前藩が入洛したとき、やはり献上物として北海道産の棒鱈が納められた。平野権太夫はまったく別の経路で京に入ってきた海老芋と棒鱈を炊き合わせて、「いもぼう」という料理をつくった。いもぼうは宮様に喜ばれて評判となり、権太夫は後に宮家から暇をとって、円山の地で商うようになったという。これが平野家の起源であり、現在「いもぼう」は登録商標となっている。 煮崩れしやすい芋と、煮えにくい干した鱈を一緒に炊くのは、一見理に適っていないようにも思える。しかし、分析によると棒鱈を炊いたときに出る膠質は、海老芋を包み込んで煮崩れを防ぎ、海老芋からでる灰汁の成分は、棒鱈を柔らかくする性質があるという。その相乗効果によって、約三十時間かけて炊き上げられたいもぼうは、絶妙の滋味を醸し出すのである。古来、京都には全国の物産が集まり、さまざまな事物が出会うことによって、独特の文化が築き上げられてきた。「出会いの物」といわれるいもぼうもまた、京都だから生まれ得た、京都ならではの料理といえるだろう。 |
|||
一子相伝により、伝統の技と味を継承する |
|||
|
|||
「いもぼう平野家本家」ホームページへ | |||
創業◇元禄~享保年間 商号◇いもぼう平野家本家 所在地◇京都市東山区円山公園内 電話◇075-525-0026 ファクス◇075-531-3232 営業時間◇午前11時~午後8時半 定休日◇無休 予約◇要予約 |
|
||
-
京都のグルメ「食べる」
-
京都のグルメ「呑む」