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VOL.9
通圓

店舗写真

●所在地

京都府宇治市宇治東内1番地
京阪電車宇治駅 徒歩1分
●営業時間
9:30~17:30
●定休日
なし
●TEL
0774-21-2243
●FAX
0774-22-5348
 


●歴史の街、宇治

京都府の南部に位置する宇治市。10円硬貨のモチーフにもなっている平等院や日本でもっとも古い神社建築とされる宇治上神社、二つの世界文化遺産を有する。紫式部作「源氏物語」、宇治十帖の舞台としても有名で、約五年前には「源氏物語ミュージアム」が建設された。

 中心を流れる宇治川沿いにはさわらびの道・あじろぎの道、といった遊歩道が整備され、源氏物語ファンの若い女性や多くの観光客でにぎわっている。数々の歴史的価値の高い建造物や物語に恵まれたこの土地に、なんと800余年も前から続く茶の店があるという。百聞は一見に如かず、早速うかがってみることにした。


●想像もつかないんですけど…

創業1160年、840年以上もの歴史を持つその茶屋の名は『通圓』。今回お話をうかがった、現在の主は通円亮太郎さん、23代目である。まず、はじめに「つうえん」という項目で広辞苑を引いてみてほしい。日本広しといえど、広辞苑に載っているような所はまぁ、滅多にないであろう。100年以上前に宇治川周辺を描いた絵図にも店の絵がしっかりと載っているのも歴史といかに重要視されていたか、ということがおわかり頂けるだろう。現代でも、吉川英治の「宮本武蔵」の中にでてくる「お通」とともに通圓茶屋も描かれているし、とにかく○○に出てたよ、という話題は事欠かない。お店の側でも把握していないことがあるに違いない。さらに、「通圓」が取り上げられているのは書物だけではない、と聞いて二度びっくり。能に「頼政」という演目があるが、それを風刺した狂言の「通圓」という演目があるし、スーパー歌舞伎の中でも取り上げられているそう。

何気なく店内を見渡すと、歴史を感じさせるようなものがいっぱい。「あの木像は?」と尋ねると、「初代の木像です。一休さんが作られたんですよ」とのお答え。店内には他にも千利休が工夫をこらして作った釣瓶があり、その二つは通円家の家宝になっているそうである。

 店内には他にも800年前から代々使われていた釜や茶壺など見るだけでも楽しいものがいっぱい。おみやげを買う時にはぜひゆっくりと店を見回してほしい。


●茶房、通圓

本店横にある茶房では、茶問屋ならではのおいしいお茶とお菓子、そしてお食事をも頂くことができる。この季節のおすすめはまず、抹茶ぜんざい(¥680)。丹波産の大納言小豆を使用した粒あんの上に、一品ずつこころを込めて点てられた抹茶を掛けて白玉を浮かべられている上品な逸品。白玉のなんとも言えないもちもち感と、大納言の粒あんの程よい甘さ、それをまとめるのはすっきりとした飲み口の抹茶。一品で二度も三度も美味しさを味わうことが出来る。
あたたかいものを頂いた後のデザートとしては、抹茶パフェがおすすめ。たっぷりと使用された抹茶とバニラのアイス、大粒の栗、生クリームなど、一読すると甘みが強いものばかり、と感じるが、実際に口にすると以外に甘さ控えめ。あっさりといただくことができる。
こちらのお店では、器にもこだわりが。器は全て、宇治市在住の陶芸家、魚雲窯・山本重行氏の作品。上品なかわいらしさがあると同時に、実際に使用するときにも使い勝手の良い大きさ、重さが心地良い。今回、パフェを頂いた器は、ウサギ柄のほかにも、数種類の柄があるそうで味わうと共に器を楽しむ喜びもある。


●おみやげにぜひ

本店ではもちろん茶を買い求めることも出来る。お茶を買う時は個人の好みもあるので、遠慮無くお店のスタッフに相談することをお勧めする。お通さん、武蔵など、お茶のネーミング一つにも通圓の歴史を感じさせるものが多数あるので、そのいわれを考えつつ選ぶのも楽しいかも知れない。
ちなみに私のお薦めは、『かりがね煎茶 お通さん』。
やさしい甘みがあり、まろやかな舌触りで大変飲みやすいお茶。
さっぱりしたお茶が好きな方は『武蔵』。
きりりとした味わいで、さっぱりと飲めること請け合いである。