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VOL.8
かさぎ屋

店舗写真

●所在地

京都市東山区高台寺桝屋町349(二年坂)
京都駅より市バス206系統 五条坂下車 徒歩10分
●営業時間
11:00~17:00
●定休日
火曜日
●TEL
075-561-9562
 


●京都観光の代表格 清水寺
金閣寺や二条城と並び、京都観光の代表格で知られる清水寺。正式名称を「音羽山清水寺」と言う。1200年前、奈良時代の終わりに延鎮上人が音羽の滝近くに 草庵を結び、千手観音を祭ったことから始まる。その後、奥州・蝦夷征討で知られる坂上田村麻呂が征討後に長岡京の旧宸殿を移築した。清水と言う名は、田村麻呂がのどを潤した清水にちなんだものだとか。
寺にある建物の多くは南北朝時代の勢力争いに巻き込まれて焼失したものを、徳川家光の命により1633年に再建された。再建時に旧来の建て方を踏襲したため、寺には珍しい優美な寝殿造りの建物が残っている。そのほとんどは、国宝や重要文化財にしていされている。中でもよく知られているのは「清水の舞台から飛び降りたつもりで」の諺にもうたわれている本堂である。

市バスを降りて、土産物屋や甘いもの処が立ち並ぶゆるやかで長い坂を上っていくと目の前に大きな門が見えてくる。重要文化財に指定されている仁王門である。
現在は修復中で見ることはできないが、門に祀られている仁王像は高さ4mもあり京都では最大のものだそう。工事中とはいえ、その姿は貫録十分で圧倒される。
通常は、仁王門をくぐって本堂へと歩いていくのだが、今は脇の階段を上って本堂へと向かう。途中「西門」と呼ばれる丹塗りも鮮やかな桃山様式の門があり、その奥に見える三重塔は日本最大。明るい日差しの下であれば、その色彩がもっと鮮やかに見ることができるだろうが、この日は典型的な冬型気候でしびしびと雨が降っていてとても残念だった。

三重塔の脇を抜けると随求堂がある。こちらでは本尊である大随求菩薩の胎内へ入ると言う「胎内めぐり」が体験ができる。これはぜひ体験すべき!と、受付の方にお願いして入らせて頂くことにした。靴を脱ぎ、入り口に立つと下へと向かう階段の奥は真っ暗。「手すりをしっかり握ってゆっくりと降りてください」と言われるままに、一歩ずつゆっくりと降りていく。下へと降りてしまうと近ごろ体験したことがないくらいの暗やみ。本当に手すりだけが頼りである。足下や天井もわからないままそろりそろりと進んで行くと、ふわふわとした浮遊感さえ感じてくる。右へ右へと2回ほど曲がった先にぼんやりとした明かりが見えてきた。明かりの下には随求菩薩のシンボルである梵字が彫られた大きな石があり、願い事をしながらゆっくりと回すといいのだそう。ひんやりとした石の感触を確かめながらゆっくりと回す。外界の音や
光から離れて、ぼんやりと明かりの下に浮かび上がっている梵字を見ていると自分の魂の中へ中へと潜っていくような気にさえなる。ほんの数分のことなのだが、ずいぶんと長い間を過ごしたように感じた。
不思議な体験の後、いよいよ舞台がある本堂へと向かう。こちらでは靴を脱がずにそのまま拝観することができる。

本堂は、寄棟造で檜皮葺きの屋根や軒下の蔀戸(しとみど)などが平安時代の貴族の邸宅の面影を伝える。一方舞台は断崖の上に建ち、舞台造という139本の柱に貫を組んだ構造で総桧板張の舞台を支える。一本の釘も使われていないと言うのが驚きだ。この舞台からの眺めは絶景。春の桜や秋の紅葉など、四季折々の風景を楽しむことができ、目を転じれば京都市街が一望できる。舞台へ上がってみて、この天気がさらにうらめしい。
本堂の奥には、釈迦堂や阿弥陀堂、奥の院などがあり、これらも国の重要文化財に指定されている。また、奥の院からは舞台を一望することができるのでカメラを構える観光客の姿が見られた。奥の院から本堂を出てすぐの石段を降りていくと「音羽の滝」と呼ばれる清水の名の起こりとなる滝がある。この水を飲むと無病息災、不老長寿の御利益があるといわれている。この滝から舞台造の木組みを見上げると、時代の重みと当時の匠の技に深く感じ入ってしまった。

●転んだら2年のうちに・・・三年坂・二年坂

清水寺を後にして、坂を下る。途中右手に石段のある坂道が見える。伝統的建造物群保存地区に指定されいてる「三年坂(産寧坂)」と「二年坂」である。緩やかな坂道には古い建物が連なり、軒では土産物や甘味、京料理などを扱う店舗が立ち並ぶ。所々に比較的新しい古い町家風の建物が目につくが、多くは明治・大正の時代から続く店である。
この坂道で転ぶと数年のうちに寿命を迎えると言う逸話があるが、これは坂道で転ばないよう注意を促すためだと言うのがもともとの話らしい。二年坂の近くには、大正時代の画家、竹久夢二が暮らしていたと伝えられ、夢二が通ったといわれる二年坂の「かさぎ屋」にお伺いした。

石段を下りた左手に古い木造の建物があり、「志るこ」とかかれたのれんがかかっている。脇に「甘党の素通出来ぬ二寧坂」と立看板があるのが、この界隈に甘味処が多いことを思わせる。店内に入ると、天井や壁には所狭しと貼られた千社札が電球のほんわかとした暖かい光に店の歴史を感じる。木でできたテーブルには、それぞれ小さな炭火の火鉢がおいてあり、手をかざして暖をとるお客の姿があった。

品数はぜんざいが3種とおはぎやいそ巻きといったお餅類とおうす。御膳しるこはこんがりと焼いたお餅が入っている。こしあんの甘さはさらりとした舌ざわりでしつこくなく、お餅の香ばしさとともに風味豊かに味わえる。添えてあるシソの味のプチプチとした食感も楽しい。塩昆布でないところがこちらのお店のこだわりか。萩乃餅という名のおはぎはつぶあん、こしあん、白あんの3種。つぶあんは大きめのあずきがどっしりと甘く、濃いめのお茶がおいしい。中のもち米のつぶしぐあいが粗く、その舌ざわりとともにぱくぱくといただける。
電球の柔らかな明かりの下で火鉢に手をかざしながら、甘味をいただいていると、大正時代かはたまた映画のセットの一部に紛れ込んだような錯覚にとらわれる。

年内の営業は25日まで。年明けは元旦から営業される。