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VOL.7
茶香房 長竹

店舗写真

●所在地

京都市中京区先斗町三条下ル材木町189
阪急河原町駅 徒歩10分
京阪四条駅 徒歩10分
●営業時間
12:00~23:00
●定休日
水曜日
●TEL
075-213-4608
 


●遊びどころ先斗町
遊びどころ先斗町。四条大橋西北詰から北へ延びる細い路地は祇園と並ぶ遊興地だ。人が二人並んで歩くのがやっとの路地の左右には、芸子さんを抱える置屋が並び竹で作られた犬矢来が京都らしさを漂わせている。飲食店やバーなどもあり、さらに細い脇道にもびっしりと小さな店舗が軒を連ねる。
夏は鴨川べりに床が出され優雅な流れを見ながらの料理が楽しめ、秋には歌舞練場にて鴨川をどりの公演があり、華やかな京舞を見ることができる。先斗町の名の由来は鴨川の岸の先端に人家が並んだので「先き斗り」と書かれたとも、ポルトガル語の「ポント」と言う言葉には「先」とか「尖端」の意味があり、そこに由来するとも言われる。
四条通から北へとのんびり歩くと飲食店の前には打ち水がされていて、なんともゆったりとした時間が先斗町一帯を包んでいるのを感じる。
しかし、ちょうど通りの中間あたりには公園があり、その周囲には放置自転車がびっしりと停められていたのが残念だった。
公園を過ぎて数メートルも歩くと、「長竹」の文字が見えた。入り口が通りに面していないのと、看板が目線よりも少し高いところにあったので、もう少しで通り過ぎてしまうところだった。
路地沿いの格子戸をカラカラと開けて中へ入る。

●茶の由来は中国から

それほど広くない店内は、4人がけのテーブルがひとつと、7.8人が座ればいっぱいになってしまうカウンター。カウンタ越しの棚には、数々の茶器と茶の葉が入った缶が所狭しと並ぶ。カウンタには、季節の花や小さな盆栽がぽつぽつと飾られていている。店内奥には、大きな花器に大ぶりの桜の枝。
あたたかな照明が、店内をふんわりと包む。

メニューは青茶 白茶 緑茶 紅茶 と抹茶をつかったデザート、茶飯などのご飯ものや京風のおばんざい。茶飯のランチもあり、数人で来られた方が注文しておられた。
今日は、緑茶と紅茶の間にあたる 青茶の烏龍茶と、中国緑茶の碧螺春(へきらしゅん)を頂く。実は、中国では烏龍茶などの青茶よりも緑茶を普段は飲むのだと、作務衣に身を包んだご主人がおっしゃった。最近では烏龍茶も日常的に飲むようにはなったけれど、その原因は日本で烏龍茶が流行したせいらしい。おそるべし日本の文化である。
さて、烏龍茶は台湾式の茶器でもって来ていただいた。聞香杯に一度うつし、香りを楽しんでから頂く。手のひらに乗る小さな急須には茶葉がびっしりと広がり、あふれるほどお湯を注いではなんどもいただいた。

一方碧螺春は、大きめの器にご主人が葉をぱらぱらと入れられる。くすんだ緑色の茶葉は、産毛のように表面が白くなっている。葉がひたひたになる程度にお湯を注いだ後「しばらく器を見ててくださいね」とご主人。じっと見ているとなんと、葉がだんだんと鮮やかな若草色に変わり開いてくる。なるほど碧螺春とはよく言ったものだ。このお茶は中国ではかなりポピュラーともおっしゃっていた。葉が存分に開いてから、器になみなみとお湯を注いで頂く。
日本の緑茶とは違い、茶こしを使わずにそのままいただけるのはこの茶葉がすぐに沈んでしまうからだそう。味は苦味も渋味もなく、柔らかく甘い。昆布茶の磯の香りを抜いたような感じ。おなかがぽかぽかと暖まる。

デザートは抹茶のあんまん。抹茶のヨーグルトチーズケーキがなかったのは残念だった。しばらくしてホカホカのあんまんが、皿に乗せられてきた。皮も抹茶あんもこちらの手作り。思い切って二つにわると、中には透明感のある深い緑色の抹茶あんと濃い抹茶の香りが一度に目と鼻を刺激する。あんには
ふんだんに抹茶が使われているのがひとめでわかった。はふはふと頬張ると、あんのほろ苦さが混じった甘さがしっとしりした中華風の皮と一緒になり、やさしい味になる。抹茶が使われたデザートには、大福やわらびもちもある。大福は持ち帰ることもできるが数が限られているので、電話で確認したほうが
よいだろう。

 
●花街の情緒を楽しんで
店には頻繁に電話が入る。しばらくすると、和服姿で髪を結い上げた芸妓さんが「すんまへんなぁ」と、やわらかな京言葉でお店に入ってこられた。
話に耳をすますと、お稽古の前に先生におぜんざいをもっていかれるようだ。そんなちょっとした花街の雰囲気が楽しめるのは、先斗町ならではだ。
店には外の明かりが入るような窓はない。それが余計に独特の時間の流れを作っているのだろう。仕事で忙しく過ぎていく日々の合間に、こんな時間をもつのは必要だ。と改めておもった。