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VOL.6
京菓匠 鶴屋吉信

店舗写真


●所在地

京都市上京区今出川通堀川西入(西陣船橋)
●駐車場
店横、店向かいにそれぞれ有
●営業時間
9:00~18:00(日祝日は17:00まで)
□菓遊茶屋:9:30~17:30(日祝日は9:30~16:30)
●定休日
無休(元旦除く)
□菓遊茶屋:水曜日定休
●TEL
075-441-0105
 




●京都所司代!?
享和三年(1803)、京都上京区の地で産声をあげた。江戸にいる将軍では目の届きにくい、朝廷や関西地方を監視・管理する目的で置かれていた、京都所司代。
その京都所司代から、1854年、上菓子仲間として認可された、という由緒ある歴史を持つ鶴屋吉信は、来年で創業200年。その鶴屋吉信の和菓子職人に目の前でお菓子を作ってもらえるコーナーがあるらしい・・・そんな話を聞いて、早速伺ってみた。

●竹の径
本店入り口の脇、西陣舟橋の立て札の横。つつましげに「お休み処」ののれんが下がっている。のれんをくぐると、続いているのは竹の径(みち)。一歩入っただけで、交通量の多い今出川や堀川の喧噪が遠くに感じられるような雰囲気に、ほっと心が落ち着いてくる。入り口を入って二階の一角。そこが今回お邪魔する、「菓遊茶屋」である。
二階ワンフロアは全体が喫茶室。手前がカウンターを設けた菓遊茶屋、中央には庭、そして奥には喫茶コーナー。喫茶コーナーの人気メニューが粟ぜんざい(¥900)と練りたてなのでほのかに温かいと評判の葛もち(¥900)。どちらも一度は試してみたいメニューだ。
さて、お目当ての菓遊茶屋。お寿司屋さんを思わせるような、カウンター席のみのゆっくりくつろげる作り。ここでどのような経験ができるのか、待っている間のドキドキ感がたまらない。
 
●いよいよ対面!
この日、私のお菓子を作って下さるのは、入社されて20余年のベテラン職人、橋本さん。まず、見本を参考にこの日のお菓子2種類のうち、どちらが食べたいのか好きな方を選ぶ。メニューは半月~一月に一度、季節に応じて変わっていくので、その時のお菓子をお好みで。
その日の私が選んだのは、紅葉の山を思わせる「錦秋」というお菓子。
外側の紅葉部分は最高級の備中白小豆を使用した白あん、内側は丹波大納言を使った味わいのある粒あんの、一粒で二度おいしい和菓子である。
まず、お茶をいただきながら和菓子ができるのを待つ。この間が第一の幸せ時間である。
錦秋の作り方は、まず外側の紅葉にあたる部分から作られる。黄色と橙色に着色された白あんをそれぞれ目の大きさが違う道具を使って紅葉に見立てて成形していく。先ほど作られた紅葉部分を、内側に入る粒あんの玉に、「お箸」で飾り付けていく。このお箸、普通ごはんを食べるときに使われるお箸よりもずいぶん先が細くなっている。というのは、和菓子が完成したときに、お箸のカタが付かないようにするためだそう。作り方も道具にも、繊細な注意が払われているのである。
魔法のような手さばきに見惚れていると、あっという間に「錦秋」が完成。通常の実演を見ているときとは違い、「自分のお菓子になる」と思うと完成したときの喜びもひとしおである。
錦秋と、お抹茶がついてお値段は¥800。和菓子製作の技術を目の当たりにできて、この値段。安い、と感じるのは私だけではないだろう。

●感動しました・・・

和菓子を食べながら、橋本さんにいろいろなお話をお伺いした。

作りたてはおいしいですね!今まで、白あんは甘い、というイメージがあったのですが、この餡はとっても上品で、おいしいです。
そういって頂けると嬉しいです!(笑)
和菓子は作りたてが一番ですから・・・
見本をお見せするときも、できるだけその見本でもおいしさを感じて頂けるように、、時間がたったら見本を作り直すといった配慮をしております。
上品な甘さを出せる、というのはうちが最高級の備中白小豆を使っているからなんですよ。白あんが嫌いな方にこそ、うちの白あんを一度食べてみて頂きたいですね。
実際にお客さまと応対されるわけですから、苦労や気を遣われることもたくさんあるでしょうね?
お客さまの喜んで頂ける顔を拝見するのが私の一番の喜びですから、苦労はありませんね。
気を遣っていることといえば・・・
お客さま一人一人に対して、その時間は私が専属になる、ということ。お作りするお菓子をお伺いして、お客さまにお出しするまで。その時間、私はお伺いしたお客さまに集中したいので、他のお客さまをお入れすることはありません。そこは常に気をつけているところです。
あと、海外からのお客さまが多いのも特徴の一つ。
海外からのお客さまには英語のパンフレットもご用意しておりますし、お菓子の作り方の説明だけは英語でご説明できるように暗記しております。(笑)
なるほど、一人一人のお客さまが満足してお帰りになる理由がわかります!
さて、こちらにお伺いする際に、「ねらい目」の時間、というのはありますか?
そうですねー。(考)
これからは観光シーズンに入りますので、一日にお作りするお菓子の数は普段の倍になります。その中で比較的入って頂きやすい時間といえば、やはり午前中のことが多いです。ただ、どんなときでも午前中はすいている、とはいいきれませんので、お待ち頂く場合があるかも。その時はご容赦くださいませ。
和菓子が好きで、お客さまの喜ぶ顔が好き・・・
雰囲気作りを大切にしておられる橋本さんは菓遊茶屋が最も似合う職人さんではないだろうか。