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VOL.6 紅葉とともに楽しみたいテイクアウト



■ShopData■ 神馬堂

●所在地
京都市北区上賀茂御薗口町4
阪急京都線四条大宮より 京都市バス46系統 上加茂神社下車すぐ
●営業時間
8:30~17:30
●定休日
火曜日.第4水曜日
●TEL
075-231-1658
●take out spot
神馬堂からほど近い、上賀茂神社の境内で。一の鳥居を入ると芝生が広がっているポイントあり。お茶は乗車バス停付近・土産物店前で購入可能。

●街の喧騒を離れて
阪急京都線四条大宮駅から地上に上がり、市バスに乗る。古い商店街を眺めながらとろとろと30分。住宅地を抜け、目の前に比叡山の勇壮な姿が広がる。下鴨神社と同じく、京都で最も古い神社のひとつ、上賀茂神社にてバスを降り、門前通沿いにある神馬堂へ伺った。

●神馬の像と包み紙
店頭には商品は並んでおらず、「葵餅」と呼ばれている焼餅と店についての由来が書かれたついたてが飾られている。お尋ねすると「どうぞ中へおはいりやす」と柔らかい京都弁にて中へ案内された。店内は暗く、一見何商かはわかりづらい。ケースに入った神馬や調度品に創業130年の歴史と風格が感じられた。
実は、こちらを尋ねたのは2度目である。前回は午後3時ごろだったのだがすでに焼餅は売り切れており、購入できなかった。平日はそれほどでもないのだが、やはり午後2時を回ると売り切れてしまうことが多いのだそう。その日の数が出てしまった時点で、営業も終わりになってしまうので、できるだけ早くうかがった方がよさそうだ。
街中より少し肌寒く、神社前バス停の自動販売機で暖かいお茶を買う。秋晴れの気持ちいい空を見ながら上賀茂神社へ向かった。
上賀茂神社の正式名は賀茂別雷神社(かもわけいかづちじんじゃ)と言い、世界文化遺産にも指定されている。一の鳥居から境内に入ると、玉砂利ではなく白砂が道に敷かれており、踏みしめた時のザクザクと言う感じが玉砂利とはまた違った心地よさを与える。二の鳥居までの参道脇は芝生になっていて、子供連れの母親やサラリーマン風の男性が思い思いの場所でお弁当を広げていた。二の鳥居をくぐると境内には歴史ある建物が。それぞれ建造より数百年を越えたモノばかりで、触れたり上がったりすることはできなかった。境内を流れる川では「曲水の宴」という祭事が行われる。細殿と呼ばれる建物の前に、白砂を子供の身長ほどに円錐形に盛られた「立砂」がある。こちらはご神体を象っているのだそう。
境内を出て、芝生にて「葵餅」を頂く。大福の両面が香ばしく焼き上げられていて、餅の中にはつぶ餡がびっしり。焼かれた部分とそうでない部分との歯ごたえが違うので、2度も3度も楽しくいただける。
鳥のさえずりをBGMに、暖かいお茶と和菓子。頂いた後は芝生でごろりと文庫本でも読みながら時間を過ごしてみたくなった。


■ShopData■ 出町ふたば

●所在地
京都市上京区出町通今出川上ル
京都市バス5系統・205系統 河原町今出川下車 徒歩5分
●営業時間
8:30~17:30
●定休日
火曜日.第4水曜日
●TEL
075-231-1658
●take out spot
加茂川と高野川の合流点はいかが?真冬になると恐ろしいほどの寒風が吹くので、下鴨神社の方が無難かも。ただし、この場所では、ユリカモメが見られる特典があるかもしれない。お茶スポットは店舗向かいのコンビニ&自動販売機がベスト。

●比叡山への入り口
京都駅から市バスに乗り、河原町の賑わいを眺めながら北へ30分。河原町今出川バス停を降りると、すぐそばの輸入食品店から、豊かなコーヒーの香りが鼻をくすぐる。通り沿いにそのまま北へ。交差点を渡ると昔ながらの商店街があり、その一角に「出町ふたば」がある。

●緩やかな川の流れを見ながら
出町ふたばお昼少し前の店頭には、すでに行列が。ショーケースには、10種類くらいの和菓子や赤飯などが並ぶ。中でも「豆餅」と呼ばれる餅皮に赤エンドウを入れたものにこしあんを包んだ饅頭が有名。買い物帰りの女性や、お出かけ前と言った方が次々と買っていかれる。店舗前の行列が途切れることがないのに少し驚いた。
「豆餅」を買って、通りを渡り向かい側のコンビニでお茶を買う。東側へぼちぼちと歩くと、加茂川と高野川が鴨川となるのが見える。加茂川にかかる橋は出町橋と呼ばれ、福井へと続く鯖街道の始まりとなっている。また、北側には世界文化遺産に指定されている糺の森(ただすのもり)があり、その鬱蒼とした森の間をさらに奥へ抜けると京都で最も古い社寺のひとつである下鴨神社(しもがもじんじゃ)がある。
下鴨神社の正式名は賀茂御祖神社(かもみおやじんじゃ)と言い、5月に行われる京都三大祭の葵祭や流鏑馬(やぶさめ)神事など行事が多数ある。樹齢200年を越えるケヤキの下で・・・・とも考えたのだが、秋晴れの空を眺めながら合流地点となる三角州のベンチに腰掛けて頂くことにした。
餅皮はもち粉ではなく米からついた餅が使われ、練りこまれているのは富良野産の赤えんどう。一口ほおばると、漉し餡のさらりとした口当たりの中にコリコリとしたエンドウの歯ざわり。また、甘さの中にほんの少し塩味が混じり、非常にあっさりとした後口になる。
秋晴れの空の下に広がる緩やかな川の流れを眺めながら、ゆっくりとお茶と豆餅を頂く。なんとも贅沢な時間の過ごし方ではないだろうか。


■ShopData■ 米満軒

●所在地
京都市右京区嵯峨釈迦堂大門町28
京都市バス28系統/91系統 嵯峨釈迦堂前バス停下車徒歩5分
●営業時間
9:00~18:30
●定休日
木曜日(但し11月は不定休)
●TEL
075-861-0803
●take out spot
近くに通称「嵯峨釈迦堂」とよばれる清涼寺がある。ここには広い玉砂利の庭があるので、ゆっくりと食べるにはgood。観光しながらであるなら、清涼寺横から二尊院、化野念仏寺を巡りながらはいかが?
帰りには嵯峨豆腐「森嘉」の豆腐をおみやげにドウゾ。

●白い桜餅
米満軒の創業は明治の終わり。現在は3代目である。取材に伺うと、お仕事中にもかかわらず、手を止めて店の奥にある工場へ入れてくださった。
代表的な和菓子である「桜餅」。現在の形に落ち着いたのは昭和40年頃のこと。「魚」をモチーフにできないかという鮎料理屋の依頼が始まりなのだそう。
桜餅は塩漬けの桜葉が使われるが、一般的には1枚の葉で餅を包む。が、こちらは大ぶりの葉が2枚使われており、間から真っ白な桜餅が顔をのぞかせている。1年を通じて扱う為、色粉で着色をしたりはしないそうだ。
できたての桜餅は、遠くからでも桜の葉の甘くやわらかい香りが鼻をくすぐる。よく見かけるものよりも少し大きいこの葉は、伊豆半島産。自生している大島桜の葉だ。和菓子用に栽培されている葉を使っている店が多い中、こちらではサイズを指定している。自生のモノは栽培モノよりも香りがよく、葉自体が柔らかい。ただ、葉の付け根の葉脈のところは自生ものは口に残るので、食べないで残す方良いかも?とはご主人談。この葉も昔に比べて、香りが弱くなっているらしいが…。餡の外をくるむ道明寺粉はもち米を砕いたモノだが、中でも一番細かく砕いたモノを使っているる。見た目はつやつやとキメ細かいつぶ、舌ざわりはさらっとなめらかだ。餡も甘さが控えめで、こちらもやはり昔は餡に対し砂糖が8割のところを現在では6割5分くらいにされているのだそう。

●こだわりの材料で
今の季節、こちらのお勧めは栗餅と栗赤飯。栗餅だけではないのだが、こちらで使われる餅皮はもち米をついてつくられている。もち粉や上新粉を使うと、どうしても多少の砂糖が含まれるため、微妙に味や舌ざわりが変わってしまうそうだ。栗餅を一口ほおばると、ぽくっとした歯ざわりの後に、蒸した丹波栗の風味が口いっぱいに広がる。甘露煮と違い、餡や餅の風味を損なわず、自然の甘味がひとつまたひとつと手が伸びてしまう。栗赤飯に使われているのももちろんこの栗だ。

●静かな門前の町で
米満軒店舗は、創業からずっとこちらで営業されていて、観光でふと立ち寄ってから十数年通っておられるなじみのお客さんもおられるそうだ。また、店舗脇に置かれている縁台で、買ったばかりの和菓子をつまんでいかれる方、栗餅の季節にだけ立ち寄られる方などさまざまな出会いがあり楽しいとおっしゃっていた。