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VOL.2
一保堂 喫茶室「嘉木」
店舗写真

●所在地

京都市中京区寺町二条上ル
●営業時間
11:00~17:00
●定休日
なし(但し年末年始を除く)
●TEL
075-211-3421
●駐車場

 


●一保堂について

京都に住んでいる人、京都に知人がある人なら「茶経」をあしらった包装のお茶を一度は見たことがあるはず。一保堂のお茶は慶事・仏事はもとより、「お使いもの(京都でいうギフトのこと)」の定番として欠かせない存在である。

一保堂は1717年、日本では八代将軍徳川吉宗の頃、また海外ではバッハが作曲活動に精を出していた頃に創業している事になる。店名は当初近江出身の主人が創業したことから「近江屋」と名乗っていたが「宇治茶一つを保つように」とのお達しにより現在の「一保堂茶舗」を名乗るようになったそうだ。

現在、売り場は百貨店を中心に全国数多いが、本店の場所は意外と知られていない。その一保堂の本店は、骨董や古書を扱う店が多い寺町通りに沿った、二条通を少し北に行ったところにある。決して派手でも豪華でもなく、落ち着いたたたずまいの様子、一歩店内に入ると壁面一面の茶壺や茶櫃がどっしりとした雰囲気を醸し出している。


●喫茶室「嘉木」

今回伺った一保堂の喫茶室「嘉木」は本店の一角に設けられた喫茶スペースだ。この名のいわれは、冒頭にも少し述べたが唐の陸羽が記した茶の専門書である「茶経」の一節からとったもの。お茶は南方の良木だ、と伝えた部分より引用している。

席数は四人がけのテーブルが四つの小さなものであるが、お茶の味と厳選された菓子は絶品。こちらのスタイルは「お茶を家でもおいしく飲んでもらうために」という意味も込めて自分でいれるスタイルをとっている。「お茶の入れ方?自信がないわ」という方もご安心を。茶の知識豊富な一保堂のスタッフが丁寧に指導してくれるので必ずおいしいお茶を飲むことができる。

 
●玉露の入れ方

玉露は茶の木に直射日光が当たらないよう、覆いをかぶせて育てることから始まる。茶の木の新芽を蒸し、揉みながら乾燥させることによって、独特の香りと甘みが出てくるそう。言わずとしれた、緑茶の中の最高ランクに位置づけられることが多い。

お茶の入れ方も玉露の場合はデリケート。
玉露を入れる際の適温は60度。一保堂では比較的簡単に温度がさげられるように、湯呑みが三つ運ばれてくる。まず熱湯を一つ目に注ぎ、そのお湯を二つ目、三つ目に移し替えていくことによって温度をさげていく、という方法をとる。外気によって、湯呑みが四つに増えたりすることもあるそうだ。
そして、適温になったお湯を急須に注ぎ、待つこと1分20秒。
一保堂自慢の麟鳳(りんぽう)が楽しめる。


●新茶の入れ方

「夏も近づく八十八夜」。
新茶は四月下旬から五月下旬、今年一番に出た新芽だけから作られるお茶である。茶の種類でいうといわゆる煎茶に分類されるのであるが、秋から春にかけて蓄えられた栄養がいっぱい詰まっているせいか口当たりがさわやか。
もっとも一般的な日本茶である。

新茶は期間限定で供されている。
新茶を入れる際の適温は約80度。一保堂で出される湯呑みの数は二つである。ポットから一つ目にお湯を注ぎ、そのお湯を二つ目へ。適温になればその湯を急須に注ぎ、待つこと約40秒。爽やかで若々しい味をお楽しみあれ。


●ほうじ茶の入れ方

ほうじ茶は煎茶や番茶を焙(ほう)じて楽しむお茶である。
カフェインの含有量が少ないので赤ちゃんにもぴったり。筆者のような一般人はこのお茶が本当においしく感じる。
#味の違いがよくわかるせいか・・・

さて、ほうじ茶に最適なのは、沸騰したお湯をそのまま急須に注ぐこと。葉のよりが他の茶と比べてゆるやかになっている為、30秒待つだけでおいしいお茶を飲むことができる。


●茶菓子

一保堂では先に解説したお茶と季節のお菓子がほぼ日替わりで頂ける。玉露は\500、新茶\400、ほうじ茶にいたってはなんと\240で楽しむことができる。

今回頂いたのは月餅屋さんの水無月。三つ目ともなると茶菓子もいらないな~と思っているとスタッフの方から「お茶だけにしましょうか?」との優しい声が。お言葉に甘えると伝票には金額に訂正が入っており、なんとほうじ茶を\40で頂くことができた。

優しいスタッフの心遣いと負担にならない価格。これがお茶を楽しむ秘訣かもしれない。