●お茶のふるさと中国 |
全てのお茶の起源になる中国茶。歴史は古く紀元前2700年余りも遡り、当時は薬としての役割が主だったようです。紀元前1世紀頃より飲み物として用いられるようになりましたが、生産量が少ないため特権階級の人々のものでした。庶民の飲み物として親しまれるようになったのは7~10世紀あたり、唐の時代だといわれています。
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●岩茶とは |
中国茶は製法の違いによって「無発酵系」「半発酵系」「完全発酵系」に分かれます。さらに淹れたお茶の色(水色)により6種類に分けることができます。上から下に向かって水色は濃くなっていきます。
・白茶
・黄茶
・緑茶
・青茶
・紅茶
・黒茶
日本で親しまれている「烏龍茶」は青茶と呼ばれる種類になります。
「岩茶」とは土で栽培されない青茶のことで、岩肌に生育している茶樹より採取されます。福建省武夷山の「大紅袍(だいこうほう)」「鉄羅漢」が有名です。
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●マンションにカフェ? |
河原町御池の交差点を東に数十メートル。京都ホテルの2軒隣の緑と茶色いレンガをあしらったおしゃれな建物の3階に中国茶の専門店「岩茶沙龍(がんちゃさろん)」があります。
本当にこんなところに(失礼)カフェが?と少々不安な気持ちを抑えて、細い入り口の奥にあるエレベーターに乗って3階へ。
ドアが開くと目の前に白い扉と「岩茶沙龍」の文字が。入り口の脇には、古い中国茶器と一抱えもあろうかという大きなお茶の葉(!)一枚ガラスの向こうには、明るい店内が見えています。
座席はゆったりとしていて、窓や壁際の席にはソファが置いてあり、いかにもくつろぎスペースといった感じ。日中は南向きの窓いっぱいの日差しで明るく、夕暮れ時には暖かな間接照明が店内を照らします。フロアにおいてある和紙とガラスのオブジェクトと、季節の花が印象的。
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●お茶と茶器 |
店内で頂けるお茶は20数種。どれも年に1度武夷山で直接買付けされるそうです。メニューにはお茶の名前と効能がわかりやすい言葉で書かれていました。今日は「パワーがからだをピョンピョン飛び回る」「八仙」と、「五臓を整えすっきりさせる柑橘系の香りがする」「佛手」を頂きました。
テーブルに運ばれてきたのは、手のひらに乗りそうな小さな急須とカップ。そしてなんと和菓子!
この日はきな粉と砂糖を練り上げた「すはま」とカステラ風のプチケーキ。大き目のティーポットにお湯も用意してあり、おかわりできます。
茶器は他に「蓋碗(カイワン)」と言う蓋つきの茶碗を使うものもあり、淹れ方がわからない時はお店の方に丁寧に教えていただけます。。夏は、冷たいお茶も楽しめるそう。
お茶の数だけカップが用意されて、飲み比べができるのもステキ。
「八仙」は濃い目の色をしていて、渋みがありますがクドくなく後口さっぱり。「佛手」は甘い香りでまろやかな口当たり。和食ともよく合いそう。
カップも小さく、一息で飲めてしまうので2杯目3杯目とお茶を淹れていたところ、驚くことにお茶が薄くなる気配がありません。また、渋くなることもなく長くおいしくいただけます。
「お湯のおかわりはいかがですか?」と声をかけていただいたので新しくお湯を頂きました。そしてなんとお茶菓子のおかわりまで。クルミを黒砂糖で絡めたのが出てきました。ゆったりとした印象は、さりげない心遣いが店内に伝わっているのかもしれません。
お茶は20g、50gとかわいらしいパッケージにて販売されています。また、茶器も数種類を購入することができます。
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●お茶だけではなくランチもいかが? |
飲茶とまではいきませんが、おかゆを中心としたランチセット、中華菓子や冷たいデザートも用意されており、数種類はお持ち帰りすることもできます。
デザートのひとつに「ココナッツ豆腐」とあまり見かけない名前が。「くみ上げ豆腐」のようなスタイルで、ココナッツの甘い香りが鼻の奥を抜けていきます。杏仁豆腐よりさっぱりしていて「プルプル」ではなく「つるん」とのどをすべっていきます。
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●時間を忘れてしまいそう |
店内にBGMはなく、食器のカチャカチャと言う音をがお茶をいただき、窓の外を眺めながら過ごしていると時間を忘れてしまいます。気が付けば、お店を訪ねてからはやくも2時間。
慌しく会計をするわたしたちに「よろしかったら」と先ほどのクルミのお菓子を小さな袋に入れていただき、本当に最後まで「ほっこり」と暖かい気分になりました。
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