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御幸町を四条通から少し上った、街のど真中にありながら、一歩中に入ると街の喧騒がウソのように静かな宿。享和元年(1801)創業で、もとは薬の行商人の定宿であったという。
紅殻格子に瓦屋根、明治の面影を残すガス灯に忍び返し、矢羽根の戸袋など外から見ているだけでも楽しいが、紅殻の壁、黒光りする天井、柱などまるで江戸時代にタイムトリップしたような玄関。書院風の客室7室はそれぞれ違った趣で、天井、障子のさん、欄間など凝った意匠が多く、建物を見るだけでも楽しい。「時雨の二段垣」に楓、槙などの樹木、灯ろう、苔を配した庭を眺め、和やかな気分になったところでいただく京料理は最高の贅沢。錦市場を間近に控え、舞鶴直送の鮮魚や京野菜など吟味した食材を、7代目当主が見事な腕で料理。季節感を巧みに表現した繊細かつ勢いのある京懐石には定評があり、ここで開催される料理教室には遠方から通う人も多い。

とり貝・ウド・菜の花の黄味酢がけは香りと歯ざわりが味に奥行きをもたらす。ぐじの桜蒸しは桜の香と一塩のぐじの旨味が味わえる一品。春を先取りしたお料理は目と舌を満足させてくれる。