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■テレビ・雑誌の取材お断り!

「馴染みのお客さんの迷惑になると困るんで
雑誌やテレビの取材はお断りしてますねん」
といって休みにも関わらず私たちの取材に応じてくれた
笹蔵のご主人 西村陽三さん。
でも・・・見るからに頑固そうだ。

「北さんの紹介ということと、インターネットということ
で今回の取材をお受けしました」
「どうしてインターネットならいいんですか?」
「いや、インターネットを見てきたというお客さんは
こだわりの方が多いんです。うまいもんと酒が好きな、ね」

カウンター席でご主人と会話を楽しむ北さん

壁にかけられた酒匠認定の看板
■旨い酒と旨い魚、そんな店がやりたくて・・・

壁に見慣れない酒匠認定の店”の看板があった。
「ご主人これは何ですか?」
「今では、利酒師っていいますがね」

・・・なるほど、酒飲みのプロか!

「ここはね、銘柄とかブランドじゃないんです
ご主人が選んだ酒を楽しむところなんです」と北さん。

「酒好きのお客さんと話が弾んで、
旨いもの食べてもらってね・・・」とご主人。

私は下戸だが、こういった店が大好きだ。

「今日は休みで全部揃ってないですが
適当に用意しましたんで」とご主人。
「じゃ、今日はお酒をいただきながらやりましょ」
と北さん

「いいですよ、私も舐めますから・・」

■笹蔵の酒の飲み方

「自分が旨いと思うものを食べてもらうんです。
酒は邪魔しない出し方を心掛けています」とご主人
酒の飲み方を心得た深い言葉だ。

「酒が主張しすぎたらあかんと思いますよ」と北さん。
なるほど笹蔵さんを好む理由はそこか

最近、取材慣れしたせいか、感が働く・・・
今日も期待できる!間違いない。

最初に”めんたいポテト”なるものが出て
次にウニがご覧のとおりの盛り付けで
そして、とり肝ソース漬とつづいた。

北さんには大吟醸の酒がでてきた。
「ちょっといきます?」と北さんがすすめてくれた。
「もちろん」とひと舐め・・・
旨い!さっぱりして実にいい。
欲深く、もうひと舐め・・・
のはずが、かなりの量が口に入った。
口の中でしばらく躊躇したが、ここでひるんでは
男がすたる。
・・・極上の酒はすんなりと五臓六腑に吸い込まれた。

めんたいポテトは初めてのものなんでコメントが
難しいがこれは結構虜になる気がする。

うにだが、
「北海道ものは使いません、これは淡路島のものです」
どうやら、この上品な甘さは淡路島産でなければ
出ないようだ。

肝、いわゆるレバーは私は正直苦手だ。
しかし、このソース漬は一度賞味あれ!
ウスターソースのなんとも懐かしい味がする。
意外な一品だ

どないしてこんな組み合わせを考えるのか?
大将、かなりの ”へんこ”もんだ。
※へんこ・・・変わりもの、頑固者といった意味合い
で使うがけっして蔑んだ意味でなく、この場合は
敬意の念を含んでいる。

 

いかん!先ほどの大吟醸がいつもの冷静な?取材を
妨げだした。
今回は、北さんも、スポンサーも、大将も無視で、
無礼講でいく・・・

次にちょっと主張のある北陸の酒が来た
・・・・ヤバイと思いながら、また舐めてしまった。

 

めんたいポテト
うに

とり肝ソース漬
あまてかれい


やまいもそうめん
■魚は旬のものでこだわる!

皿にのった”あまてかれい”が出てきた。
立派だ!うまそうだ・・・?
ちょっと待ってよ大将。いくらなんでもこのまま食べるの?

まてよ、樂家ずしでぐじの頭にかぶりついた北さんだ。
普段は、野生的にこのままいくのかもしれん・・・・

「魚にだけは妥協しません。
こいつは今が一番うまいんです。
つくりと薄づくりで食べてもらいます」と大将。

なんだ、この魚を食べてもらいますと見せてくれたのか
・・・酒のせいで少し思考が乱れた!

料理の間に出てきたのが”やまいもそうめん”
こんなやまいもの食べ方もあるんだ。
大将見かけによらず繊細だ。それと出汁がいい。
よ!お見事!・・・私も絶好調だ。

やまいもに感動していたら、
かれいがえらい”華麗(=綺麗)”になって出てきた。
※これは洒落のつもりだが読者の方々に通じただろうか?

わさび醤油ももちろんだが、薄づくりが絶品。
さらに、オリジナルブレンドのポン酢がいい!
無意識に私はこのポン酢を飲み干してしまった。
注)普段はけっしてこんなことはしません。

つくり
薄づくり
■肉もいきますか?

わさびステーキ?
ぶっかけステーキ?

「なんじゃこりゃ!・・・・」

最近こんなセリフのCMが流れている。
SANYOのザクティとう斬新なデジカメのCMだ。
故松田優作の名セリフをSMAPの草なぎが演じる演出だ。

なぜここだけ冷静かというと・・・ 実はSANYOさんは
私の大切なクライアントだ。

「お客さんが何?って思うでしょ。 そうなると会話も弾みます」と大将。 メニューは毎日手書きでつくるそうだ。
さて、出てきた肉の一品がご覧の品物。
わさびステーキは大根おろしで食べる。
ぶっかけには大好物のポン酢がたっぷりかけてある。

ここで、酒らしいというか、少ししっかりした
味のものが出た。
私は、不覚にもまた舐めた。

肉と酒とのバランスが憎い!
見かけによらぬ?・・・・粋な演出だ。
よ!大統領!さすがプロだ!

・・・とうとう酒が頭に北?
・・・いかん!ヤバイ!最低の洒落だ。

 
わさびステーキ

ぶっかけステーキ
(左)あぶりはも (右)落としはも
■ほんのり暖かい はも料理

「冷やして食べるのが一般的ですが
これを一度食べて見てください。
あぶりにはわさび、おとしには梅醤油を用意しました」

「う~ん!これもいいですね!」と北さん

ほんのりと温かい”はも”の食べ方もあるんだ。

「お客さんに喜んでもらえる
美味しいものを出したんですよ」

さりげない大将の言葉に感動です。
「笹蔵のこだわりは本物ですね北さん!」
「そうでしょ!」

■ここでの楽しみ(最後の仕上げ)

意識を失う前に、どうしても食せねばならぬものがある。

「北さん、ちょっと最後にあれ!あれ!」
「わかってます、”あれ”でしょ」

「ウマイ!」
私は白葱が苦手だがまったく問題ない。
この素朴な姿、何でも素で勝負せんとあかん!
・・・・意味不明である。

「これもウマイ!」
出汁が利いた和風カリーだ。

「それぞれそばが違うでしょ
ずいぶん捜したんですよ」と大将。
この人のことだ、きっと世界中を回ったに違いない!
・・・・酒のせいで気が大きくなった。

「和風加利伊丼もいい!」
大満足!

最後は腹加減とお好みだが
北さんのおすすめは、最初は”素焼そば”だ。
中年には懐かしい郷愁があり・・・
若い人には新鮮さが・・・あるはず。
感動モノだ。
※断っておくが、ここは食堂ではない!居酒屋である。
くれぐれも、これだけを食べに行かないように


さて、皆さんに不愉快な思いをさせる前に、
この辺で終わりにするが、最後に一言。

美味しい肴でお酒を飲みたい人のための
本物志向の居酒屋なら「笹蔵」だ。

西村ご主人、奥さんご馳走様でした。

 

 


素焼そば
(左)加利伊丼と(右)加利伊そば
■店情報
「酒亭 笹蔵」
住所:京都市中京区御池通間ノ町上ル高田町509-4
    ※御池間ノ町を上がってすぐ東の路地の奥です。
電話:(075)-252-3210

定休:毎週火曜日
営業:午後5時半~11時(要予約)
    ※営業時間少し前の予約もOK!
・・・・取材を終えて・・・・

「よかったな 北さん」
「いいでしょ」
「さあ 次はちょっと趣向をかえて
元芸妓さんのやってるお好み焼きの店を紹介しましょ」
「それどこですか北さん」
「まあ行ってのお楽しみということで」
・・・・ではまた次回!

案内人)北 俊彦

文)八田雅哉 写真)高嶋基久子