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『こう一』主人 有吉秀和さん
『こう一』主人 有吉秀和さん
祇園で11年修行し、独立して7年。
修行した店のこだわりを受け継ぎながら、
独自の彩りでお客さんをもてなす店、
それが今回紹介する、北さん太鼓判の「こう一」だ。
こう一暖簾 こう一店内 暖簾をくぐると、中はカウンター8席の清楚な店だった。
「お客さんをひとりひとり大切にもてなしたい」『こう一』のご主人、有吉秀和さんはそう語ってくれた。祇園の『なか一』が、有吉さんが修行をした店。『こう一』の名はその『一』をいただいたとのことだ。それだけでも、“保障付”といった感じがする。
「北さん、ここはどういう風に紹介しましょうか?」
「ここはね!あそこに看板があるようにお鮨屋ですが、旬の一品をおまかせでゆっくり味わうのがいいんです。
お鮨は、その時のお腹の加減でね、最後に調整して頂きます」そう言いながら、北さんはビールを注文し、喉の渇きを潤した後、熱燗にかえた。

さてどんな料理をいただいたか早速紹介しよう。
いきなり書くのもいかがなものかと思うが
『こう一』は北さん太鼓判以上のところだった!

「のれそれ」そうめん仕立て
■「のれそれ」そうめん仕立て
最初は、“今が旬”の一品が並んだ。
小さな器で出された“のれそれ(穴子の稚魚)”は、
これからの贅沢な時間のためのプロローグだった。
■赤貝、とり貝、ほたるいか、木の芽味噌
「ストレート勝負です!」
主人有吉さんはそう言った。その通り、素材が勝負の一品が続いた。私は、アルコールを分解できない体質の下戸だ。だから、酒を多く飲むことはできず“なめる”しかない。
しかし、その分、“料理+酒”への執着、願望は人一倍!?
・・・だと思っている。
赤貝、とり貝、ほたるいか、木の芽味噌
花わさび
■花わさび
わさびの刺激が鼻を抜けたが
その加減はちょうどいい。
なかなかいいタイミングでの一品だ。
これは変化球に違いない!?・・・
ちょっとした場面転換で次の料理に移った。
■飯だこ煮
今年2月九州での撮影の帰り、下関で休憩した際地元で捕れた“飯だこ”を買った。そして家で煮て食べた。
ご飯のような食感からそのように呼ばれる春先の珍味だがここで私はもう一度その美味しさをを知ることになった。
あっさりと煮付けられた“飯だこ”は、噛むほどにその味わいを増した。
飯だこ煮
からすみ
■からすみ
何気なく出されたこの一品は
私の“からすみ”イメージを変えてしまった。
これまで“からすみ”というと、ただ塩辛いという印象だ。
でもこの“からすみ”は、実にまろやかで芳醇で
口の中で、まるでチーズのように広がった。
私は、ここで日本酒を舐めた。
汲み上げ湯葉とウニ 鯛の潮仕立て
■汲み上げ湯葉とウニ
■鯛の潮仕立て
二、三杯飲んで空になった北さんの猪口に燗酒を注いでいると次の料理が出てきた。出汁加減がいい“汲み上げ湯葉”に続いて出たのは“鯛の潮仕立て”これは感激の一品だった!鯛の脂と出汁の調和…うまく言い表せないが「それぞれの持ち味が見事に溶け合った椀物」だ。料理人として『直球勝負』を挑んでいるようだ。
   
■笹がれい
「これが笹がれいです!」とでも言いたげな
飾り気のないこの一品も見事だった。
「柑橘系のものや添え物はいいでしょう!
そのまま食べてもらいたいので・・・」と有吉さん。
その意味はすぐにわかった。
私は「これが笹がれいか!」と思った。
笹がれい
とろ、鯛、墨いかのつくり
■とろ、鯛、墨いかのつくり
“とろ”は、その脂が部屋の温度で溶けてじんわりと表面を覆いだしていた。
“墨いか”はその後味に“いか”らしさがあった。北さんは酒と一緒に満足そうに味わっている。
私も、この“つくり”と酒を舐めながら、じっくりと味わった。
唐突だが、「日本料理バンザイ!」の一品だ!
■筍のわかめすり流し
とろりとしたわかめのすり流しに筍を絡めて食べるこの一品にも驚いた。濃厚な磯の味に、筍のあっさり味と歯応えが実にうまく合った一品だ。再び唐突だが、「京都バンザイ!」
筍のわかめすり流し
鯖の塩こぶ和え
■鯖の塩こぶ和え
「これ最近のヒット作です」と有吉さん。
「うん、これいいね!」と酒と一緒に味わう北さん。
「北さん鮨は?」
「今日はもう少しいけそうなんで頼みましょう!
私は、最後、お鮨でお腹を調整するんです。」
鮨(ずけ、平目、蛤煮、こはだ、穴子、玉子)
 
■鮨(づけ、平目、蛤煮、こはだ、穴子、玉子)
いつもは有吉さんお気に入りのお皿(右)で鮨をいただくそうだが、今日は、撮影用(左)に、この日のおススメ5品を盛り付けていただいた。
それぞれのペースで、自分流に締めるこの鮨の味わい方。なんと粋で贅沢なことだろう!かくして、12品の料理とお猪口一杯の酒で私は大いに満足した!
「北さん、いいですね!」
「いいでしょ!」
少し酔ったのか、北さんの笑顔が可愛く見えた!三度唐突だが、「こう一、北さんバンザイ!」
■店情報
ヴィラージュ
店名 こう一 定休日 毎日曜日
住所 京都市中京区先斗町通り蛸薬師上ル東側 営業時間 昼・夜お客様に合わせて(要予約)
電話 075-213-1700 費用 おまかせのコースで15000円程度

案内人)北 俊彦  文)八田雅哉  写真)八田 雅哉 高嶋基久子