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木津川
火曜日と土曜日に北さんがお昼を食べるところ、それが京都のおばんざいの店「木津川」です。
堺町御池を下がったところに、
見過ごしてしまう入り口がある。
その入り口からなんとも京都らしい
路地を入って行くとある。
130年前の町家が「木津川」だ。
京都では、小路から入って、狭い路地を抜けたところに
今もこのように町家の生活が残っている。でも残念なことに、最近はマンションなどの建築で、そんな暮らし振りも
少しずつ姿を消している。
さて、北さんのお気に入りの「木津川」だが営業は、火曜と土曜の昼のみと、すこし変わったお店だ。私はこの「木津川」に前から興味があった。
お店?町家?の中は、改築はされているものの、昔ながらの奥に長い台所があって、その天井の窓からは外の光が入っている。ところどころに、粋なしつらえがあり質素で、落ち着いた、なんとも味わい深い空間だ。
店内は、真ん中に6人の囲みテーブルの席があって、窓際に5、6人ほどの席がある。奥に座敷もあるので必要に応じてそこも使うそうだ。
「木津川ではその時々の季節のおばんざいがいただけます」
そんな風に、北さんには聞いていたが、それでも「ここはなんだろう?」と思ったのが、正直なところ、私の第一印象だった。
お昼をいただく前に、ここ「木津川」の起こりについて、どうしても知りたくなった。そこで、今の女将「よしこさん」にお話を伺った。
「母(西村良栄さん)の代までは、旅館だったんですが、
どうしてもその商売を継ぐのが嫌でね
私は、商売人ではないところに嫁入りしたんです!
そうしたら、ご贔屓さんの行き場所“たまり場”がなくなって
母は50歳を過ぎてこのお店(代わりの場所)をつくったんです。」
先代のお女将、故西村良栄さん。
京都には“サロン”が芸術や文化を生み出した歴史があるがそんな話に共通する“たまり場”の話だ。
「最初は商売してはる、旦那さんやお隠居さんたち五人のための食事の場所だったんですよ!
それぞれの持ち寄りの品に、京都らしい料理を用意しお会費500円で、昼の時間を過ごしてもらっていたんです。
結局、いま私もそんな“場”をお世話しています」
料理屋ではなかったこの店の30年の歴史は、
伝統的な“本物のおばんざい”料理を守ってきた。
そのことこそ、北さんが惚れ込む所以である。
北さんから借りた西村良栄さんの本、
“京都「木津川」のおひるご飯”には
家庭の料理に特色がなくなった戦後に
昔ながらの知恵を絞り、伝えてきた、
食事(料理)の方法が消えてしまう寂しさと、
京都のものを京都らしく食べてもらいたいという
西村さんの思いが綴られていた。
さて、この日の北さんの“おひる”、「木津川のおひるご飯」は“粕汁”。
でも北さんは取材に伺う前に、よしこさんに無理を言って、豚肉入りの粕汁にしてほしいと図々しく頼んだそうだ。
テーブルには北さん専用のお箸袋も置いてあった。そして、同じように、ご一緒のお客さんのお箸もある。木津川のおひるご飯は「一汁一菜」が基本!
この日の献立は、粕汁とイワシの生姜煮とご飯と香物。かつての京都の暮らし振りが、今もここでは味わえる。そして、この“ひるご飯”を楽しみにするご贔屓さんたち。私はこの日、あたたかく、重みのある、とてもおいしい、まるで家族のような“おひるご飯”を堪能した。
京都の“おひるご飯”を堪能したあとはご一緒の方々との“京都談義”。時間を気にせずにということなのか木津川の古い柱時計は、時を刻んでいなかった。
(※編集部注:2008年1月現在、都合により新規のお客様は承っておりません。ご了承ください。)
あとがき
正直、誰にでもお勧めするお店ではないかもしれません。でも京都好きで、この記事に興味を持たれた方、是非一度ご体験を!私もいつかお箸袋に名前を入れてもらいたいと思っています。
■店情報
店名
木津川
住所
京都市中京区堺町御池下ル西側
案内人)北 俊彦 文)八田雅哉 撮影)北住邦彦
木津川
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