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■祗園の路地の奥にこだわりの鰻屋があった。


探しても見つけにくいところにその鰻屋はあった。
「北さん、ずいぶんわかりにくいところにありますね!」
「僕も最初は、通りすぎてしまって迷いましたよ」
看板も控えめにしか出ていない。
こんな店こそ、こだわりの一品があるはずだ。

路地をずいぶん入ったところにやっと店の玄関が現われる。
知らなければ、民家の中かと途中で引き返すほどの奥だ。

店は、カウンター席とテーブル席がふたつ。
ゆったり10人程の広さだ。
そこに、かね正(かねしょう)のご主人 藤居久士さんがいた。

   
■知らなかった「まむし丼」の由来

大変恥ずかしいことだが、私は“まむし丼”とは場所の違いで鰻丼をそう呼ぶものだと思っていた。
鰻に似た、蛇のまむし、加えて精力がつきそうだからそのように呼ぶ別名かと勝手に思い込んでいた。

そもそも「まむし」とは「まぶし」からきたものでこれは、ご飯にまぶすということから「まむし丼」となった。
ならば何をまぶすのかというとご覧の通りここでは、まずごはんに“ごま”と“たれ”をまぶし細めに切った鰻をまぶして食べるのである。
これが正真正銘の「まむし丼」である!
そう北さんが説明してくれた。

うまい!ごまの風味と鰻の香ばしさが混ざり合った絶品だ。
「いいでしょ!私はこれが好きなんです!」
なるほど、これが“まむし”か!北さん参りました。

まむし丼 1,000円(すまし付)

   
■新子の鰻は背開きの関西風焼きでいただく

関西では、一般的に、鰻は腹開きで、
関東のように蒸しをいれずにそのまま焼く。
しかし、かね正では、背開きだ。

「ご主人、どうしてですか?縁起ですか?」
「いえ、腹開きにすると、両端の方が身が薄くなります。
背開きなら全体に厚みが一定なんでそうしています」
「鰻は何処のものですか?」
「国産ですが、その時々ですね、結構時期に左右されます。
今は新子で骨もやわらかくて美味しいですよ」
新子とは去年の秋の白子(しらす)で今年大きくなったものだ。
※白子とは稚魚のこと

北さんから一言!
「鰻は時間を惜しまず焼きたてをいただくべし!
バタバタとすぐに出てくるのは鰻丼ではないんです!」
ハイ!北さん了解いたしました。

   
■きんし丼は女性に人気!

見て下さいこのきんし丼!
撮影用の為に、きんしを控えたものも用意しましたが
本番は上にたっぷりときんしがのっています。
これもやはりまぶしで食べるのですが鰻の風味が若干
まろやかになっていただけます。
ご主人「女性に人気のメニュです」と・・・

私は、男で性格もどちらかというと淡白だ。
なので・・ストレートの鰻丼派だ。
・・・まあ、あくまで個人の好みです・・・

きんし丼 1,000円(すまし付)

   
■ボリュームなら「うな重」

正統派というか、白いご飯に鰻をのせたものがうな丼又はうな重だ。

この、うな重、まるまる新子一匹分がご飯の上にのる。
しっかりいただくというか、ボリューム優先ならこれだ!
うなぎが食べたい・・・・そんな時なら私はこれにする。

うな重 \1800(すまし付)

   
■その他の一品

「北さん、一品もいきましょ!」
「じゃ、きも焼きと鰻巻きにしましょ」

きも焼きは、生臭さも、泥臭い癖もない。
上等なうまい、きも焼きといった感じだ。
目も良くなると聞くが、科学的な根拠は知らない!
ともかく、丁寧にじっくり焼いたこの一品は肴にいい。

鰻巻きは、しっとりとした出汁巻きに鰻の香ばしさが口の中に広がる定番の一品だが
私は、卵が好物なんで、これもいい。

きも焼き \500  鰻巻き \800

   
■名物お茶漬鰻

「これがかね正名物のお茶漬鰻です」と北さん。
鰻はずいぶんと調理され佃煮になっている。
「白焼きしてから炊き込んでいます」とご主人。
「昔からのものですか?」
「私で4代目ですが、2代目が考えたものです」
「どうしてこのメニューを考えられたんですか?」
「2代目がお茶漬けが好きだったんですよ・・・(笑)
まあ、日持ちがするのが大きな理由かも知れませんね!」

薬味は、三つ葉の軸とわさびと山椒。
お茶は、煎茶。

まったく鰻とは別のものという感じだが、うまい!
かるく塩を振っていただく、またこれがいい!
大変贅沢なお茶漬けです!

お茶漬鰻 \1800

   
■店情報
鰻料理 かね正
住所 京都市東山区谷本大路通四条上ル常盤町(祗園郵便局北側路地入る)
電話 075-532-5830
定休日 木曜・日曜
営業時間 (昼) 11:30~14:00
(夜) 17:30~22:00
 
■取材を終えて 

そろそろ体力も落ちてくる夏場に「鰻」?
もちろん栄養価は高いので理にかなっているが
そもそも販促の天才学者平賀源内の仕業のようだ。
節分の海苔巻、バレンタインのチョコレート。
いずれも根拠のないものだ・・・が
鰻は、暑い夏に立派な市民権を得ている。

さて、次回は北さんの「買い物篇」です。


案内人)北 俊彦  文)八田雅哉  写真)北住邦彦