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十二段家photo1
丸太町通りに面した十二段家(写真右)
御所に近い烏丸丸太町を西に入った南側に、
今回紹介のお店『丸太町十二段家』がある。
お茶漬けで有名な店だが、どうして“お茶漬け”なのかと
少々に不思議に思う。さてどんなお茶漬けに出会えるか…
お地蔵さんphoto
玄関前のお地蔵さんが京都らしい

■丸太町十二段家の「お茶漬け」の起こり
京都らしいといえばこれほど似合いの献立はないが
お茶漬けを看板にするからにはそれなりの訳があるに違いない。
「北さん知ってます?」
「いや?…まあ、京都の”お茶漬け”っていうのは
“あり物で用意する食事”というの意味もあるんで
そんなところからきてるんだと思いますよ」
確かに、京都では“お茶漬けでもどうどす?”というのは
十分なもてなしではないが…といった意味で使う。
早速、ご主人の秋道さんに“お茶漬けの起こり”を聞いてみた。
■店の創業は大正のはじめ
創業当時の看板
創業当時の看板が店内に飾られている
「最初は祇園町で、丹後家という甘いもん屋をやっていたそうです。
そこで簡単な食事を出すようになったんです」
店の名の由来は、歌舞伎忠臣蔵にちなんで
甘党十二段のメニューを用意したところ、
お客さんが十二段家と呼ぶようになったとのこと。
今なら辛さを選べる店とでもいったら解り易いだろう
・・・なかなか粋な創業者だ!

一階店内1
一階の店内は質素で落ち着いたしつらえ
 店は平成2年に現在のビルに建て替えられたが
内装は、質素で創業当時の雰囲気を残している。
階段のところにも、少し前まで現役だった看板もある。
一番奥の調理場へ向かって広い一階の店内は、
床に座る席が三つとテーブル席が二つある。
なんともあっさりしたしつらえだ。
「自分ひとりでできる規模がこの大きさで」とご主人。
儲けることが最優先ではないこの姿勢が北さん好みだ!

話は“お茶漬け”に戻る…
「祇園で遊んだ人たちに、ちょっとした食べ物を出した
それが今のようなカタチになっていったんです。
祇園の店も同じ丹後家の流れです、祇園はしゃぶしゃぶ
丸太町のここは、お茶漬けが看板メニューですね」
元祖というかお茶漬けは、丸太町十二段家なんだ!

一階店内2
お茶漬けコース
写真は、季節の一品を付けたお茶漬けコース「水菜」¥1890
お茶漬けの基本メニューは「すすじろ」¥1050
他に、刺身のついた「菜の花」¥2835もある

■北さん一押し「昼のメニュー」

「戦後の物のない頃に、ご飯と自家製の漬物で
お客様をもてなした、それを今も続けているんです」
「だし巻き卵はここだけですよね」と北さん。
「はい、母の代に、もう一品という思いで
栄養価の高い卵を使った“だし巻き”を始めたんです」

これが歴史を積んできた、名物の“お茶漬け”だ!
撮影中のだし巻きからは、出汁がじんわりと出ている。
北さんおススメの今回の料理をいただくことにする!

■質素だが、こころ温まる料理…

加茂茄子、伏見とうがらしとゆば
私たちの注文したのは、季節の一品がついた“水菜コース”
さて、どう食べるんだ?
いきなりのお茶漬けでは、バランスが悪いな!
「最初は、ご飯とおかずで召し上がってください
そして、最後にお茶漬けでさらさらと…」
季節の一品は、賀茂茄子、伏見とうがらしとゆば
ご主人のこだわりが感じられる!

だし巻き だし巻きはあっさりとして上品な味付けだ。
汁物をうまく組合せながら、ここまではご飯でいただく。
「ごはんは“おかわり”できますから遠慮なくどうぞ」
なるほど、最後のお茶付けのご飯を気にせずに食べる


塩加減を押えた自家製の漬物は、少し酸味があっていくらでも食べられる。
「私はね!小皿に醤油をとって、お漬物に少しつけ、そこに“マイ七味”を振ってお茶漬けを食べるんです。これがうまいんですわ!」


私は、小さいお茶碗とはいえ、ごはんで二膳、お茶漬けで二膳
正直、質素どころか、かなりのボリュームだ。

注)マイ七味については、バックナンバーの北さん買い物篇を見てください。


自家製の漬物
■どうしてお茶漬け家でステーキが?
ステーキ
写真は、近江牛びいふすていき(野菜つき)A¥5040
小付、赤だし、御飯のついたBセットは¥5460
一見、お茶漬けとは縁のないこのステーキ!
でも、よく考えるとなるほどの一品だ。
前説したように、ごはんとおかずがここの前半戦で
後半戦がお茶漬けコースとなる。
このステーキは、前半戦でいただくものだ。
ごはんとおかずを食べて、仕上げにお茶漬けサラサラ!
これが“十二段家の二段攻撃!?”
“甘党十二段”以来、粋な気質は今も健在だ!?

注)このステーキ、ごはんに合います!何人かで一皿是非どうぞ!
 
牛肉のしゃぶしゃぶ
しゃぶしゃぶのコースは、雪)¥6300、月)¥7875、花)¥9450の3コース
■次は牛肉のしゃぶしゃぶに挑戦!
丸太町十二段家のお茶漬けの美味しい食べ方は
これでマスターしてもらったことと思う。
最後に、もうひとつの“名物”も紹介しておく。
胡麻ダレでいただく『牛肉のしゃぶしゃぶ』だ。
これは二階の座敷でいただくメニューでコースは三種類。 もちろん最後はお漬物とお茶漬けでシメル!
「北さん、今日はもう食べられませんが、是非これをまた…」
「いいですね!そうしましょう!」

■京都らしさをこれからも頼みます!
ご主人 秋道賢司さん
ご主人 秋道賢司さん
桂米朝さんにどこか似ているご主人に
これからのことについて聞いてみた。
「京都でしかできない商売ですわ!
やれるまで、自分のペースでぼちぼちやります。
子供の代は、子供がなんか考えるでしょう!」
百年の歴史を背負ったご主人秋道さんの笑顔の中に
京都人の気質がキラリと光った気がした。

■店情報
店名 丸太町十二段家
住所 京都市中京区丸太町通烏丸西入
電話 075-211-5884
定休日 毎週水曜日 
営業時間 昼 11:30-14:30
夜 17:00-20:00
丸太町十二段家地図

案内人)北 俊彦  文)八田雅哉  撮影)北住邦彦