「北さんお元気ですか?
前回の取材では心配しましたよ!
急に体調が悪いということで・・・
それから、しばらく仕事でも出会うことがなかったし」
「あれからあまり食べられなくてね!
やっぱり食べられないのはつらいね・・・」
でも、今回は久々に、北さんと取材です。
とにかく元気で何よりです。
北さんは、やっぱり食いしん坊でないとね!
「お酒が過ぎるんですよ!北さん」
「よ~くわかっております・・・」
車の中で、そんな話をしていると、上七軒に着いた。
「さて今回は中華ですね?
そういえばこれまで、中華の紹介はなかったですね・・・」
「そうですね、今回紹介するところでは
私は、いつもコースでいただいているんですが、なかなかいいですよ!
最後の焼そばがいいんですよね・・・」
「それにしても上七軒で中華ですか・・・」
細い路地を入っていくと
知らなければ、絶対見つけられない場所に
北さんおススメの店『糸仙』さんがありました。
「上七軒のこんなところにお店があったとは!
知らなかったな・・・」
鮮やかな青地の暖簾に赤い文字で「糸仙」。
町家の並ぶ静かな路地で、ひときわ印象的です。
店内一階には、カウンター6席と8名ほどの小上がりと、一階と二階には、あわせて40名ほどが利用できるお座敷があります。
このお店、カウンター以外は、お茶屋さん当時の造りだそうで、花街の風情を残したお座敷が主体のお店です。
糸仙のご主人、内海博史(うつみひろし)さんは、
元は組紐屋だったそうですが、
四条河原町の「芙蓉園」で修行をして
30年前、ここにお店を構えたそうです。
お見合いで結ばれた奥さんは、
上七軒の仕出し屋「登里新」の方で
「料理屋でなく、組紐屋の人と結婚したはずが、
結局、料理屋になった」との事でした。
「北さんおススメの料理教えてください」
「いつもは、コースなんですが
・・・じゃ、春巻でしょ、酢豚でしょ、焼そばかな」
「北さん、もう少し食べたいし注文しましょうよ・・・」
「他には何がお勧めですかね?」とご主人に聞いてみたら
「全部!」と即答された。・・・まずい質問をしてしまったが、強面のご主人の料理に対する自信がうかがえた。
追加の料理は
かしわ玉子焼、やきぶた汁そば、エビチリが加わった。
糸仙のご主人 内海博史さん
ご主人は、手入れの行き届いた調理場で
手際よく料理を作り出した。
糸仙さんには、ご主人のメニューと息子さんのメニューがあり、注文した中で、エビチリは息子さんの料理だそうだ。
それぞれの料理というのが、どういうことなのか少し気になるが、まずは、ご主人のお料理をいただきます。
■春花捲(はるまき)¥735
「一枚一枚の皮を焼いてから巻いて揚げます」
ご主人がそうおっしゃる、これが春花捲(はるまき)です。
『味に自信あり!』といわんばかりの盛り付けです。
撮影中から、その香ばしさがあたりに漂います・・・。
辛子醤油でいただきましたが
サクサクとした具の食感と皮のパリパリ感がとてもいい!
「いやこれはいいですね北さん」
「いいでしょ!」
■古老肉(すぶた)¥787
一般的に、濃い茶色のイメージのある料理ですが
糸仙さんの料理は、ずいぶんあっさりした見栄えです。
はるまきに続きそのシンプルさに少し戸惑います。
・・・美味しい!しっかり古老肉(すぶた)です。
余計な味が目立つことなく見事に調和しています。
「いいですね北さん」
「いいでしょ!」
自分のカメラで料理を記録している北さんを見るのは久しぶりです。
そして、美味しそうに食べている北さんも・・・
■炒麺(やきそば)¥735
北さんおススメの 炒麺(やきそば)です。
麺は自家製だそうですが、細くて具の中では存在感がないほどです。
でも味わっていると、実に上品な「やきそば」です。
取材スタッフで分け合って食べたせいか、このやきそば
もう少し、しっかり味わいたかった一品です・・・・
■鳳凰蛋(かしわ玉子焼)¥682
文字通り『かしわと玉子の焼き物』ですが
とろみがついた、これもまた満足の一品です。
ご主人の料理は、シンプルで繊細ですが、
どこか直球勝負の感があります。
「うんいいですね!」・・・北さんも満足そうです。
■又焼麺(やきぶた汁そば)¥630
「ちょっとスープちょうだい」と北さん
・・・そして「美味しい!」
鶏のスープは、実にあっさりした味です。
「昨日打ったんで麺がきれいでしょう」と奥さん。
自家製の細麺がとてもやさしいスープと合っている。
これも、次回はしっかり食べたい一品だ。
息子の内海大輔さん
さてもう一品の「小海老のチリソース」は
息子の内海大輔さんの料理です。
横浜と東京で修行して京都へ帰って来て
ご主人と一緒(親子二代)に活躍されています。
この日は宴会の準備で忙しい中でしたが
一品を用意してくださいました。
■乾焼蝦仁(小海老のチリソース)¥997
「いやこれは参ったな!・・・本格的ですよ!」
「美味しいですね!」と北さん。
ご主人の味と息子さんの味が二つ楽しめるお店・・・。
二軒の中華屋さんが一緒にあるようなものです。
「北さんいいですね」
「いいでしょ!」
さて、今回の取材で紹介したのは六品ですが、
糸仙さんの魅力を全部伝えることはできません。
ご主人がおっしゃった『全部!』の意味も解りました。
是非、これからも何度か訪ねさせていただきます。
「また予約しますのでよろしく!」と北さん。
最後に、もう一度皆さんをご紹介しておきます。
左がご主人の内海博史さん、右が大輔さん
真ん中が、久々に写真登場のお洒落な北さんです。
次回はそんな間を空けず取材予定です。
どうぞお楽しみに!
案内)北 俊彦 文)八田雅哉 写真)北住邦彦
■店名 | 糸仙(いとせん) |
■住所 | 〒602-8381 京都市上京区今出川通七本松西入真盛町 |
■TEL | 075-463-8172 |
■営業時間 | 17:00~20:30(L.O) |
■定休日 | 火曜日 |
■座席数 | カウンター6席、座敷48席 パーティー、宴会は4~30名様 |
■コース料理 | 3,675円~ 4,200円~ 5,250円~ |
-
京都のグルメ「食べる」
-
京都のグルメ「呑む」