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【閉店しました】
■妙な雰囲気の寿司屋さん!
 

 

北大路下鴨中通を西へ
一筋目を北へ上がったすぐの右手に北さんおすすめの寿司屋さんはあった。

寿司屋というよりショットバーのような店内だ。
程よい音量のBGMはJAZZで、この日はスタンダードなボーカルものが流れていた。
・・・・渋いな!

「ご主人の趣味ですか?」
いきなりの質問のせいか
あまり愛想のない感じで
「オーナーの趣味です」と答えが返ってきた。
「オーナーさんJAZZがお好きなんですか?」
「ええ」

どうもご主人、無口な方のようだ!

 

 

 
 
   
 


■料理長の藤原資平(ともひろ)さん

 
■料理長の藤原資平(ともひろ)さん

 

 

「藤原さんは料理長なんです」と北さん。

「そうですか失礼しました」
「藤原さんは祗園の菱岩さんで修行をしてね
そして、ここのオーナーに見込まれて
今この店を任されているんです」

腕を見込まれた料理長さんだったのか・・・

「さて北さんのおすすめはなんですか?」


 
■昼のお弁当とちらしずし

 

「私はお弁当がおすすめですが友人はちらしずしが気に入っています。まずそのふたつをたのみましょうか」

ここには寿司屋さんでよくあるガラスケースがない。一見、カウンター割烹の店ようなつくりだ。

しばらくすると、お弁当が出てきた。
にぎりの盛合わせに炊合せと強肴が付いている。

「どうです!私はこの組み合わせが好きなんです。
特に気に入っているのはこの炊合せなんですよ。
菱岩さんで修行をされただけあって私はうまいと思います。おすすめです」

菱岩さんとは祗園の有名な仕出屋さんだ。

「冷めても美味しくいただける
それが仕出屋さんの腕のみせどころなんです」

寿司のネタも新鮮そうだ。
季節の煮物はその時々風情があり強肴も料理人の工夫が感じられる。

まもなく"ちらしずし"も出てきた。

私はまず、このちらしずしのうえにのっている
"たこやわらか煮"から口をつけたが

・・・なるほど!北さんおすすめに納得だ!

次に弁当の中とろのにぎりをいただいた。ネタの鮮度はもちろん、バランスがいい。すし飯の甘さも控えめで、私は大いに気に入った。

値段も手頃だ。ともに赤だしが付いて

楽家弁当 ¥1,575 ちらしずし ¥1,050

「北さん、このお昼いいですね!」
「いいでしょ」・・・北さん、いつもの口癖で得意そうだ。

 

 
 
■楽家弁当
 
■ちらしずし
 

■たこやわらか煮とおつくり

 
■夜のおまかせ
 
 

今日はこの二品で終わり・・・

当然、これだけで取材は終わらない。

「北さん、ここでもおまかせがあるんでしょ?」
「もちろんです!じゃそれもいきましょうか」
と北さんさらに得意そうだ。

「ほんとは寿司だけでやりたいんですが
夜となるとお酒の肴ということで
一品も用意しています」
と言いながら料理長の藤原さんは、
私が一切れしか食べられなかった
たこのやわらか煮をもう一度出してくれた。

うまい・・・煮物いいです!

 
■煮物は家族の味
 



「藤原さん煮物へのこだわりがあるんですか?」
「とくにないですが・・・
煮物の味は生まれ持ったものだと思うんです」

無口な藤原さんが口を開いた。

「どういうことですか?
もう少しそのことについて教えてください」

「小さい時に食べた味が残っているとおもうんですよ
家族の味というものがあると思うんです。
僕の味は、おばあちゃんの味、おふくろの味です」

■蒸しあわび

・・・家族の味か・・・

「今は核家族になっておばあちゃんの味をお母さんに受け継ぐといったことが少なくなってきています。家族に受け継がれた味が私の基本です」と藤原さん

・・・確かにそうだな・・・

「なんとか今は、まとまるようになってきましたが煮物をはじめた頃は、なかなか自分の思っている味が出せなかったんです。すごくへたくそだったんです」

 

■ぐじの焼きもの

 
■美味しい訳
 

それにしても魚がおいしい!寿司もそうだが、
魚そのものがとにかくうまい。

つくりはもちろん蒸しあわびも最高!

「やっぱりうまい!」
いきなり"ぐじ"を食べた北さんが叫んだ。

私も食べたが確かにうまい!

「実はね!ここのオーナーは近幸水産という
魚屋さんなんです」

なるほど!  材料がいいはずだ


北さんが藤原さんと話している間に、私ひとりでぐじを食べてしまった。自慢じゃないが私は魚の食べ方
がうまい方だ。しかし、今日の 北さんには参った!

ほとんど身の残っていないぐじの頭にかぶりついた。目玉のあたりに躊躇いもなく食いついているではな
いか。

「ここがうまいんです!」と北さん

どこ?まだ食べるところがある?  こんな野性的な北さんを見たのは初めてだ。

・・・・この人やはり本物です!

■妙なキャッチコピー



普段の食事として寿司を食していただきたくて実食本位。

旬の魚のにぎりをじゅうぶんに食してください・・・・

お店の名刺のようなカードにそんなコピーが書いてある。

 

■寿司盛合わせ


確かに、味はもちろん、価格もそこそこでキャッチコピーどおりの店だ。

楽家ずしさんはオープンして4年半ほど、場所は街の中心から離れ住宅街ということもあって
最初はなかなかお客さんが付かなかったそうだ。

でも今は、予約(夜)をしたほうがいいそうだ。このような寿司屋を知っているのもなかなか粋だ。これでまた引出しが増えた。尚、夜でも寿司だけを食べる方もいるとのこと。

その日のおすすめ12貫で3,500円。是非実食してください。


■店情報

【閉店しました】

●京都市左京区下鴨東半木町72-8  
  TEL075-706-7337 

  昼)11:30~2:00  
  夜)5:00~10:00 定休 水曜日

※ 夜のお値段・・・
よく飲んで食べて7,8千円だそうです。


 

・・・・取材を終えて・・・・

ぶらぶらと街を歩くのに良い季節になった。
「さて北さん次は何処へ?」
「どこにしましょうかね・・・・」
「北さん流居酒屋っていうのはどうでしょう?」
「う~・・・ちょっと取材交渉してみますね」さてどうなりますか、次回をお楽しみに!

文)八田雅哉  写真)北住邦彦