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「北さん、今回は、前から話に出てくるご贔屓のショットバーを紹介してくださいよ!」
「でもね・・・そこはほんとに好きな人だけが集まるところでお店の宣伝もあまりしてないんですよ!」
・・・ならばなおさら知りたくなる。
交渉してもらった結果、お店の電話番号を掲載しないこととその理由をお伝えすることで取材OKとなった。
寺町二条を下がった西側。
案内がなければたどりつけないビルの2階。
取材前に店をネット検索したら、常連さんのようだが
この看板を“まるで秘密クラブの看板”という風に書いていた。確かに、はじめてなら、これを見て入る人はまずいないな!
ビルの横から奥に入りエレベーターで2階へ
取材時は夕方でまだ明るかったせいか
店に入ったら足元が見えないくらい暗かった。
やはり“秘密クラブ”?・・・   いやそうではない!
壁に並んだボトルの種類とその数に圧倒された。
インテリアは、かつて木屋町にあった
あの喫茶「リドル」に似た重厚な雰囲気だ!
なるほど北さんがゾッコンなのも無理はない。

北さんの秘密の場所は、カウンター8席の贅沢な空間だった。そして、今回、北さんに紹介された、こだわり人物は
ショットバー・カルバドールの高山寛之さん!
スーツをきっちり着込んで迎えてくれたその対応と笑顔は
一流ホテルの支配人といった感じだ!
「まずはいつものやつを!」と北さん
ある日のこと、料理もお酒も満喫して立ち寄った北さんが
さっぱりした柑橘系のものをリクエストしたらしく
そのリクエストに高山さんが創ってくれたのが
この『北スペシャル!』だったそうだ。
以来これが北さんの定番だそうだ。
ジンベースに、グレープフルーツ、レモンリキュール、トニックウォーターがその内容。
味は、サッパリ、スッキリとして抜群です!

でも、何より北さんを感動させたのは、パフォーマンスも含めたグレープフルーツの“皮むき”だったようだ。
「その手さばきが、カッコよくてね!」と北さん。皮をむき、中の白い部分もキレイに取り除きながら
「半分に切って搾るだけでは苦味が出ますので」と高山さん。そのこだわりが北さんのお目とお口にかなったようだ。
北さんカルバドスをストレートで・・・
 
「店の名前『カルバドール』は、りんごのブランデー『カルバトス』からつけました」
とおっしゃるようにカウンター奥の棚にそのカルバトスがぎっしり並んでいる。
酒を飲みながら話をはずませるのもいい・・・一人でゆっくりもいい・・・洒落た選曲を楽しむのもいい・・・
素敵な女性と一緒ならそれ以上の楽しみ方はない・・・ここ『カルバドール』はそんな時間を提供してくれそうだ。
私には、かつての音楽仲間でショットバーを営む友人がいる。時々立ち寄ると小粋なR&Bとアルコールなしのカクテルでもてなしてくれる。・・・そんな話を高山さんにすると
ライム入りのジンジャーエール『サラトガクーラー』を作ってくれた。それは、酒の飲めない私の“いつものやつ”だった。いやいや気配りがなんとも素敵である。参ったな!

『サラトガクーラー』はジンジャーの刺激がたまらない 究極の大人のノンアルコールカクテル?
「もう一品違ったものを紹介したらどうですか?」と北さん。それではと高山さんがシェーカーを振った。
それは『ポンレベック』という高山さんオリジナルのカクテルだった。カルバドス、りんごジュース、レモンジュース、シロップでできた少し甘味のあるもの・・・
お酒であることを忘れて飲んでしまいそうなやわらかい口当たりだ。
 
「北さん、こんなところでゆっくりするのもいいね!」
「いいでしょ!」そして北さん「最後にトイレも見てくださいね!」とひょっとしたらと思ったら・・・案の定!
行ってみると洗面台に“MOLTON BROWN”が置いてある。これは北さんこだわりの一品でもあるハンドウォッシュだ。
“モルトンブラウンがあるところに北さん出没!”最近、京の巷ではそう言われているそうだ!?
最後に、『カルバドール』を紹介する条件でもあった、電話番号を載せない理由を聞いた。
「カクテルをつくっているときは電話に出られないしそれはお客さんのための時間ですから大切したいんです。
でも、名刺には電話番号は書いてあるんですよ!」と高山さん。
なるほど!・・・贅沢な時間が過ごしたいならこの“秘密の場所”か!
最近、あまりに使われ過ぎて重みのないコピーになったが「ここには本物の『大人の時間』があります」とびます。
■店情報
場所は京都市中京区寺町二条を下った若林ビルの2階
営業時間は、夜7時から翌朝の4時まで
定休日は水曜日、定休日前の火曜日は午前1時閉店です。
『カルバドールの夜』はたっぷりあります!
店名 カルバドール 定休日 水曜日
( 定休日前の火曜日は午前1時閉店)
住所 京都市中京区妙満寺前町446 若林ビル2F 営業時間 19:00~翌4:00

案内人)北 俊彦  文)八田雅哉 写真)高嶋基久子