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祇園「富乃井」 | ||||||||||||||||||||||||
京都を代表する花街、祇園
花見小路。その少し北より、古門前通りを西に入ったところに「富乃井」がある。京情緒豊かな祇園界隈の中でも特に静かなたたずまいを呈している。 暖簾をくぐって、格子戸を開ける。初夏の頃は満開の紫陽花が彩る露地を進んでいくと都会の喧騒を忘れてしまいそうである。玄関にはやわらかい灯りがともされ、竹垣や石畳とともになんともいえない京町屋の風情が漂っている。 靴を脱いで店の中に一歩入るとほっこりとした気分になる。ここでは時間がゆっくり流れている、そんな気持ちにさせる店である。 |
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白川のせせらぎ | ||||||||||||||||||||||||
町屋の趣を残す店内は、お座敷カウンターとお座敷がある。8席あるお座敷カウンターからは、坪庭が見え、季節の移ろいを楽しみながら食事をすることができる。 そして何と言っても、「富乃井」は白川畔という最高のロケーションにあるということを忘れてはならない。白川の見える部屋で、四季折々の眺めを楽しみ、耳でせせらぎを聞き、旬の味覚に舌鼓をうつ。まったく贅沢極まりない。 常連客には、湯川秀樹、司馬遼太郎をはじめ、多くの文化人が名前を連ねる。料理旅館だったこともあって、かつては川端康成も泊まったことがあるそうだ。部屋には、湯川秀樹や司馬遼太郎直筆の色紙がかけられており、この店に一層彩りを添えている。 場所がら舞妓さんや芸奴さんもよく訪れるということだ。 |
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旬の京料理 | ||||||||||||||||||||||||
湯葉や水菜など自然と京都のものを使った料理が出される。 本格的な会席料理はもちろんのこと、黒豆の枝豆、水菜のおひたし、茄子の田楽、湯葉豆腐、山かけ冷奴、魚そうめんなど、おばんざいや小鉢料理も充実していて、気軽にいろいろ楽しめる。 「今は家庭的なものの方がお客さんに喜ばれるので、料理の主流はそういうものに変えていってるんです・・・」と現在のご主人である高山章さんは言う。「うちでは、茄子の田楽は油で揚げてから焼くんです。余分な油が落ちてさっぱりとヘルシーにいただけるとこれもお客さんが喜んでくれはるんです。」 「お客さんが喜ばれるから・・・」というご主人の言葉がとても印象的であった。お客様第一に考えるというのはサービスの原点と言える。 料理は、その他にもオリジナルの鍋料理が人気である。 「白川なべ」は、厳選した豆腐がメインの鍋。丁寧にとった昆布出汁に海老、いか、貝柱、鱈やかわはぎなど白身の魚、白菜、水菜などの野菜を入れる。豆腐は豆腐用のだし、その他はポン酢でいただくというのが「白川なべ」の大きな特徴。このポン酢はこだわりの自家製。作り方は企業秘密であるが、味には自信あるという。 「鴨なべ」は、冬に人気のメニュー。鴨肉、旬の京野菜である水菜、豆腐、つくねを特製ポン酢でいただくもの。 |
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祇園の隠れ家 | ||||||||||||||||||||||||
お座敷カウンターで小料理と酒でちょっと一杯もよし、白川のせせらぎを聞きながら仲間と宴会をするもよし。あまり人に教えたくない隠れ家のような店、それが「富乃井」である。 |
【地図】
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