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新鮮な海の幸とお酒とおそうざいが楽しめる酒膳処

「にしきの千松」

にしきのせんまつ
■所在地 京都市中京区四条柳馬場上ル西入
■電話

075~221~6145

■営業時間

5:30PM~10:30PM

■定休日 日曜日、祝日
■お料理 おまかせコース 5,250円(税込)~
【冬期】
ふぐ鍋コース 7,350円(税込)~、かに鍋コース5,250円(税込)~
■予約 できれば予約をしていただきたい
■その他 カウンター7席、1階あがり座敷 4~5名、
2階座敷12名
カード支払可
「にしきの千松」とは・・・
 京都の碁盤の目の名のある通りの間には、ひと一人が通れるくらいの細長い路地がいくつもある。四条柳馬場を北に上がった一筋目の左手の露地を奥に入ったところに「にしきの千松」はある。「丹後半島直送 酒膳処」と染め上げた粋な濃紫の暖簾がかかる。丹後となにか所以があるのか早速聞いてみると、女将の清美さんの父親の実家が丹後・網野町で経営する料理旅館「千松」に由来しているとの事。もともと父親が開店した京都三条の「京の千松」を、娘婿にあたる垣村 昭氏が大将として錦で「にしきの千松」をはじめた。「ところ(場所)」と「千松」を合わせて店名を付けるなど、京都らしい趣きがあり、一度聞けば忘れない。
 現在は、昨年(2001年)の12月から四条柳馬場で「にしきの千松」がリニューアルオープンし、町家を改造したあったかい家庭的な雰囲気の店である。
 店を始めて17年、「お客様が飲んで食べて、本当にほっこりとくつろいでいただきたい。格式とかそんな大それた事は思ってなくて・・・」と大将も女将も声をそろえて言うとおり、それがこの店の一番の売りである。
酒膳処「にしきの千松」
 「にしきの千松」の自慢のひとつは、食材の仕入れにある。大将が京都の中央卸売市場、錦市場から新鮮な素材を仕入れるのはもちろんのこと、産地から直送で仕入れている。そしてなによりも嬉しいのは、それら本物を安く楽しめることだ。「うちでは、ホントのもんという言い方はおかしいけど、本物をよそさんよりできるだけ安く出させてもらってます」と言い切る。その大将の言葉に間違いないことは、一度訪れるとすぐにわかる。
 今回は、てっさ(1,575円)、焼き蟹(1,575円)、蕪蒸し(1,260円)、卯の花(630円)を賞味した。(写真・価格は全て一人前)
 「てっさ」は、長崎の天草のもの、この価格でこの質・量を味わえるのは、ここだけと言い切ってもいいくらいだ。すだちのきいた自家製ぽん酢で食する。この時期、多くの客がこれを求めてやってくるというのも大きくうなずいてしまう。そして、「焼き蟹」。北海道か丹後のずわいがにを出す。煙の出ない備長炭の網焼きで、客自らの目の前で焼きながらあつあつを楽しむ。潮の香りがそのまま感じられ、素材の良さを痛感する。一人前でこのボリュームもまた嬉しい。「かぶら蒸し」は、この冬の時期 京都で味わえるおすすめの一品。ぐじ(甘鯛)、ゆり根、ぎんなんに、すりたての香りがただよう蕪(かぶら)がかけまわされ、蒸し具合は、最高である。京野菜である蕪の甘味、ぐじ、ゆり根の歯ごたえ、そしてうす味であるけれども輪郭のはっきりとした出汁、すべての調和が見事である。「あたたかいうち召し上がってくださいね。具をかき回して一緒に召し上がってもらうのがおいしいと思います」と細やかな気遣いに思わず嬉しくなる。そして女将の手作り、本日のおばんざい「卯の花」。にんじん、しめじ、こんにゃく、ごぼう、油揚げをほんのり甘く上品に味付けした、単身赴任の客に人気の高い一品。卯の花は、地下水のおいしい長岡京市の手作り豆腐の店「にがりやさん」で仕入れているそう。その他、「菜っ葉の炊いたん」「にしんのうま煮」や「れんこんのきんぴら」など日替わりでおばんざいが楽しめる。
 それから、やはり忘れてはならないのが、料理にあう酒である。樽酒を桝で楽しめたり、燗であれば松竹梅『豪快』、 冷酒であれば松竹梅『焙炒造り』がおすすめ。そのほか久保田、八海山、立山など地酒も揃っている。焼酎では、よかいち(米・麦)ZIPANGなどがある。
 食も酒も本当にほっこりゆっくり楽しめて、懐も心配無く、心もお腹も満たされるそんな店である。

てっさ

焼き蟹
 
 
 

かぶら蒸し

卯の花
   
   
 
人とのお付き合いを大切に・・・
 50歳から55歳のサラリーマン、近所の方が常連客。いちげんさんは少ないが、紹介で人から人へとつながりが生まれてくる。 『「人とのお付き合いを大事に」、お客様あっての商売だけれど、人間として付き合えるようにお客様を大事にしていきたいんです。』と女将は言う。
 意気がピッタリの二人のなれ初めは、大将は、学生時代、ギターリストをつとめるバンドマンであり、女将はその“おっかけファン”だったことに始まる。サラリーマンを数年し、女将との結婚を機に、包丁を持った事がないという料理とは無縁の人生から一変、調理師学校に通い、「にしきの千松」を始めたそうだ。
 それから17年、お客様に対するおもてなしの姿勢は、父親から女将に受け継ぎ、今も忘れることなく活かされている。これからも「千松」の名と共に間違いなく息づいていくことを感じながら店を後にした。

【地図】