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「いもぼう」でお馴染み円山公園の味

「いもぼう平野家本家」 いもぼうひらのやほんけ
■所在地 京都市東山区祇園円山公園内
■電話

075~525~0026(代表)

■営業時間

AM11:00~PM8:30
(ラストオーダーPM8:00)

■定休日 年中無休
■お席 座敷5部屋(各室4~10人)を含めて約130人
■お料理 花御膳 3,150円(税込)・円山御膳 4,200円(税込)
都御膳 5,250円(税込)
ミニ会席料理 6,300円(税込)(要予約)
京会席料理 8,400円~15,750円(税込)(要予約)
(サービス料不要)
円山公園の一隅

京都・いもぼう平野家本家 行楽客でにぎわう円山公園。立ち並ぶ掛け茶屋から少し離れたところに静かな一隅がある。静かな流れをまたぐ石の小橋がかかっており、この奥にあるのが「いもぼう」で有名な「平野家本家」だ。生け垣越しに小さな赤い提灯がいくつも見え、華やいだ様子がうかがえる。

京の名物料理「いもぼう」

京都・いもぼう平野家本家 「いもぼう」とは海老芋(えびいも)と棒鱈(ぼうだら)を炊き合わせたもので、京都の名物料理として名高い。京の伝統野菜である海老芋は里芋の一種で、江戸中期、九州で作られていた唐芋(とうのいも)を平野家の先祖が京都に持ち込んだのが始まり。土寄せを何度も行い、土の重さでエビのシッポのように湾曲したものがきめ細やかな上物。平野家の棒鱈は真鱈の素干しで、その昔宮中への献上品だった。北海道は稚内で丸1年かけてじっくり作られたものが最上級品とされる。平野家では今や稀少となったこれら食材を、創業以来三百年、代々受け継いできた手法で一緒に炊きあげている。ふつう、煮え方の異なるものは同じ鍋で炊かない。しかし平野家は海老芋を厚く面取りし、棒鱈は1週間~10日かけて柔らかく戻して、熱伝導の強い銅鍋とかまどで一昼夜かけて炊くのだ。棒鱈からでる膠(にかわ)質が芋の煮崩れを防ぎ、海老芋の灰汁(アク)が棒鱈を柔らかくするという素材の特性を活用した、先人の知恵による伝統の料理法である。素材が助け合うところから「夫婦炊き」、また北と南の食材を合わせることから「出会いの味」とも呼ばれ、おめでたいものでもある。 (ちなみに、海老芋は秋が収穫期。夏期には里芋を使用することになるのでご留意を。)

書き物では伝えられない大切なこと
 「いもぼう」の味は一子相伝で伝えられてきた。十四代女将、北村明美さんは跡継ぎとしての多くのことを子ども時代から自然と身につけてきたという。平野家には代々書き残されたものがない。技術と味のすべてを口伝(くでん)で伝えているのだ。とはいえ、調味料には決まった分量があり、伝統の調理技術を用いる。それでも書き記されてこなかったのは、年々歳々同じ味を提供するのに大事なことはその日の気候や食材の質をよむことにあり、これによって「平野家本家」の味が出せているかを見分ける舌こそが重要であるからだ。「こればっかりは紙に書いて伝えられないんです」と女将は言う。
京名物をいただく
京都・いもぼう平野家本家
花御膳
 店に入ると、緋毛氈が敷かれた昔の茶店風の席に大学生ぐらいのカップル、熟年グループなど、幅広い年齢層がくつろいでいるのが見える。奥には座敷もあるので、用に合わせて選ぶとよい。法事の精進落とし、お見合い、最近では若いカップルが親どうしの顔合わせに使うこともあるとか。
 店全体は歴史と伝統というより、あたたかい雰囲気に満ちている。主人の眞純さんは大学のクラブで明美さんと出会い、十四代を担うことになったということだ。おしどり夫婦の明るさが、そのまま店に溢れている。

 さて、庭の見える落ち着いた座敷に通され、人気の高い「花御膳」(3150円)を賞味した。朱塗りの膳に美しく配された料理は7品。
 吸い物の「梅椀」には梅の五弁になぞらえた五種の椀種がはいっている。「祇園豆腐」は豆腐にしっかりめの味をつけた吉野葛あんをかけた温かいもので、薬味の辛子など全体をよくかき混ぜていただくオツな品。「とろろのり巻」は丸芋(つくね芋)のすり下ろしをのりで巻いたものだが、腰が強く持ち味濃厚なとろろが絶品。土佐酢でさっぱりと。和えものに「京菜、コンニャク胡麻味噌和え」、ごはんと香の物をいただいた。
 古来から伝わる味は素朴だが計算し尽くされた旨味があり、また現代人に必要な健康食でもあった。
 
 「美味延年」の一筆が床の間に掛かっている。顧客だった川端康成がノーベル賞を受賞した記念に立ち寄り、いつになく上機嫌で、十三代当主多造さんの目の前で揮毫したものだ。主人と女将が受け継いだ大きな遺産は、時代を問わず多くの客の延年(長生き)の夢をかなえてくれる美味なのである。 (文/花月亜子)
京都・いもぼう平野家本家
円山御膳
花御膳に加えて「出し巻」「デザート」

京都・いもぼう平野家本家
都御膳
花御膳に加えて「出し巻」「天ぷら」「デザート」

京都・いもぼう平野家本家
ミニ会席料理

(写真はイメージ)
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【地図】
京都・いもぼう平野家本家